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平成10年 9月第 4回定例会−09月22日-03号

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  1. 石川県議会 1998-09-22
    平成10年 9月第 4回定例会−09月22日-03号


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    最終取得日: 2023-06-10
    平成10年 9月第 4回定例会−09月22日-03号平成10年 9月第 4回定例会   九月二十二日(火曜日)     午前十時八分開議           出席議員(四十四名)             一  番   下   沢   佳   充             二  番   藤   井   義   弘             三  番   杉   本   栄   蔵             四  番   木   本   利   夫             五  番   紐   野   義   昭             六  番   山   田   憲   昭             七  番   山   田   省   悟             八  番   北   村   繁   盛             九  番   朝   倉       忍             十  番   石   坂   修   一             十一 番   北   野       進             十二 番   小   倉   宏   眷             十三 番   米   田   義   三             十四 番   石   田   忠   夫             十五 番   吉   田   歳   嗣
                十六 番   向   出       勉             十七 番   石   林   爾   郎             十八 番   菊   知   龍   雄             十九 番   和 田 内   幸   三             二十 番   吉   崎   吉   規             二十一番   稲   本   孝   志             二十二番   山   根   靖   則             二十三番   八 十 出   泰   成             二十四番   善   田   晋   作             二十五番   上   田   幸   雄             二十六番   稲   村   建   男             二十七番   長       憲   二             二十八番   角       光   雄             二十九番   長   井   賢   誓             三十一番   矢   田   富   郎             三十二番   宇   野   邦   夫             三十三番   宮   下   登 詩 子             三十四番   庄   源       一             三十五番   川   上   賢   二             三十六番   北   村   茂   男             三十七番   大   幸       甚             三十八番   福   村       章             三十九番   中   川   石   雄             四十 番   宮   下   正   一             四十一番   米   沢   外   秋             四十四番   宮   地   義   雄             四十五番   米   沢   利   久             四十六番   金   原       博             四十七番   池   田       健           欠席議員(二名)             四十二番   櫻   井   廣   明             四十三番   河   口   健   吾        ─────────────── △開議 ○議長(長憲二君) おはようございます。  これより本日の会議を開きます。        ─────・──・────── △質疑・質問(続) ○議長(長憲二君) 日程に入り、質疑及び質問を続行いたします。大幸甚君。  〔大幸甚君登壇、拍手〕 ◆(大幸甚君) 去る七月二十四日より八月九日まで世界の屋根ヒマラヤに私は行ってまいりました。石川県山岳協会主催によるヒマラヤ西部パキスタンでの植林ボランティアに一県民として参加させていただいたのであります。今回、このような経験から国際ボランティアという視点でまず質問をいたしたいと思います。  ヒマラヤの登山家たちはここ二十数年間に多くの樹木を切り、燃料にしました。その結果、洪水や地元住民の燃料不足の原因となったのであります。このような背景によって、世界の登山家たち自然保護団体が植林活動しているのであります。私たちは二千八百メートルほどのところにキャンプを張りました。ここに来るまでにまずバスに乗り込みました。険しい山道をくねくねとカーブしながら一日十二時間、それが三日間続いたのであります。谷側は数百メートルの断崖で反対側にも数百メートルの絶壁がそびえ、上からいつ岩が降ってきても不思議ではない状況でありました。  幸い行きは無事でありました。しかし、帰り道では落石事故に遭遇いたしました。大きな岩や土砂が道をふさぎ、通行どめになったのであります。早速、山岳協会のメンバーは各国のツーリストたちと協力して小さな岩を取り除きました。棒を使って一生懸命にやるのですが、大きな岩はびくとも動かないのであります。一同があきらめかけたところへ突如として石川県の小松製作所のショベルローダーが出現いたしました。巨石を次々に谷底へ落としていくと、その場に居合わせた全員から拍手と歓声が沸き起こったのであります。共通の目的のため、そのとき世界の国の人々の心が一つになったようでありました。少し先には昨日バスが転落して三十七人が死亡したという大惨事の現場がありました。ガイドから一カ月に一度はそのような事故が起こると聞き、ぞっといたしました。  四日目には、ジープに乗りかえ、土ぼこりにまみれながら三時間半かけてようやく目的地にたどり着いたのであります。とにかくそこに行くだけでも予想もしない大変な思いをいたしました。  キャンプ中は、石川県山岳協会がことし三月ごろに植林いたしました樹木の成長状況を調査したのであります。ここは白山の頂上とほぼ同じ高度で、空気は薄く水は泥水。ですから、食事も砂の入った料理でありました。日中は異常気象のため、気温が五十度近くになり、早朝は十度程度であります。つまり一日四十度近くの気温差があったのであります。現地住民の生活は半数の人ははだしであります。燃料は樹木を使っております。食べ物は麦、大豆、ジャガイモ、アンズ、リンゴ等果樹類で自給自足であります。それで、石川県から古いセーターや靴をお土産に持っていったのであります。  宗教は御存じのとおりイスラム教であります。そして、政教一致の政治体制です。イスラム教の基本は五柱、つまり五つの行があります。一つは、アラーを信仰すること。一つは、一日五回アラーにお祈りをすること。一つは、喜捨をする。つまり進んで寄附をすることであります。一つは、九月には日の出から日没まで一カ月断食をする。もう一つ五番目に、一生に一度はメッカに行くことであります。ちなみにイスラム教全体で約七億人の信者がおるという話であります。二十一世紀はこのイスラム圏諸国との交流が日本にとって非常に重要になると予想されております。  今回、国際的なボランティアを経験してつくづく感じたことは政治、宗教、文化、生活等が大きく異なるため、ある種の探検隊的な覚悟が必要であるということでありました。  このような経験から各国のボランティアの状況を調べてみました。ボランティアは与えて求めない。これは各国共通の原則のようであります。ですから、ボランティアというものは自分自身の生活によほど余裕がなければ参加が少ないと思われるでしょう。しかし、必ずしもそうではありません。例えばインドでは低所得者層の人々が最も多くボランティアに参加されております。パキスタンでは孤児がいればイスラムのお祈りの集会で呼びかけをすると必ずだれかが引き取ってくれるのであります。フランスでは学校にクラブ活動がなく、青少年スポーツに関してはお世話役やコーチ等すべてボランティアで行われております。  先日、日韓議員連盟で訪れました韓国では上層階級の人々は夏休みの一週間、ほとんどボランティアに参加しているとお聞きいたしております。自分自身の体を使って奉仕するということであります。参加した後は自分の気持ちがさわやかになる。このようなすばらしいことはないとおっしゃっておられました。このようにそれぞれの国の政治、教育、宗教等によってボランティアのとらえ方も大いに異なると考えられます。  しかし、私の近所の老人が戦時中を振り返って語っておられました。「毎日、何十キロも行進し、全員がのどがからからに渇き切って動くこともできない状態になって休憩をとる。すぐそばに川があってもだれも行くことができなかった。そのような極限状態でも他人の人の分まで水をくんでくる者がいた」。そんな話をお聞きし、大変感動をしたことがございます。これこそボランティアの本質である与えて求めないという行為ではないでしょうか。  この際、知事御自身はボランティアの思想についてどのように考えておられるのか。また、具体的にどのような実践をしてこられたかをお尋ねいたします。  同様に、副知事、教育長、県民文化局長にも今までどのようなボランティア活動を実践されてきたかをお聞きいたしておきます。  石川県は、中国の江蘇省やロシアのイルクーツク州、韓国の国立全州博物館等と長く深い交流がございます。また、ブラジル、香港、パリ、ニューヨーク、アルゼンチン、ハワイ、ロンドン、シリコンバレー、サンフランシスコ、シンガポール等にそれぞれ石川県人会がございます。これらの都市とのボランティア同士の交流も進めていただきたいと思うのであります。万一災害があった場合、状況によっては協力し合うことができるかもしれません。今後、そうした国際間でのボランティアの共同活動の機会は至るところに出てくると思われます。  実行に当たって、医療、福祉、建設・電気技術等、各分野の専門知識を持つボランティアの参加が強く望まれるようになりましょう。登録制度を立ち上げ、人材を公募してはいかがでしょうか。  国外での災害ボランティア活動は特に出発前には現地の情報が最も必要な事項となります。こうした情報収集作業は行政にしかできない仕事ではないでしょうか。国際的災害ボランティアに関する情報サービスのシステムをつくられてはいかがと思うのであります。  続いて、国内ボランティアと行政のかかわりについてお尋ねをいたします。  一口にボランティアと言いますが、諸外国のように敬けんな宗教心に基づく社会参加の習慣は私たちにはなじみの薄いものでございます。また、個より和を重んじる国民性が本当の意味での民主主義の定着を、あるいは妨げているのかもしれません。そのために官主導型の社会となり、市民意識が育ちにくい土壌をつくっているとも言えるでしょう。  我が国における本格的なボランティア活動は一般的にはまだまだ始まったばかりであり、阪神大震災での一連の支援活動をもってボランティア元年と言われております。ただし、その和の精神や困ったときはお互いさまといった気持ちが大きな災害に遭遇したことによって改めて高まってくるのも事実であります。  先般のロシアタンカーナホトカ号」の重油流出災害以来、本県でもそうした機運が盛り上がり、県民総ボランティアという目標を持っております。石川県版ボランティア元年と理解いたしております。そこで、一層教育こそが非常に重要な問題であると確信をいたしております。  現在、立命館や同志社女子大、関西学院大学など関西方面を初めとした各大学でNPOスクールなどの講座が新規開講されております。県下の大学にもこのような教育を働きかけてみてはいかがでしょうか。  幼児期から周囲の大人たちによる助け合い、思いやり、広義には国際理解といったボランティア精神に富んだ環境があれば自然とそうした態度が子供たちの身につくようになると考えます。それは今後、国際社会において日本が諸外国と協調していくために不可欠な思想であります。つまり、教育界を取り巻くいじめや不登校等の諸問題にも直結する心の教育という視点になろうかと存じるのであります。  まず、子供の成長という長期的なスパンに目標を定め、意識の変革を促していくことが近い将来に最善の結果をもたらすと考えます。県として、こうした幼児期からの一貫したボランティア教育に対する考えをお聞きしたいと思うのであります。  私の友人で、先般の阪神大震災のときにお身内の方のために神戸まで行ってこられた方がいらっしゃいます。当時既に七十歳を過ぎておられました。戦争の経験から考えられる限りの現場の状況を想定し、食料や飲料水はもちろん車の予備燃料、なた、大型カッター、スコップ、ハンマー、バール等の装備を積み、当時まだ普及率の低い携帯電話を借りました。三十分おきに家との連絡を取り決め、出発したのであります。神戸方面から来た車からルートを聞き出し、それを逆行。途中、新聞社や警察に最新の情報を聞きながら、あの大混乱の中、加賀から約十六時間で神戸に着いたそうであります。途中のインターではどのルートが使用可能であったか。一般の方々から伝言板を通じて情報交換をしていたそうであります。これは生きた情報、生きた行動と呼べるものであります。  昨年の重油災害のときはインターネットによる情報が広く行き渡りました。しかし、善意で寄せられた情報が余りにも多過ぎて、かえって正確さを欠き、混乱を招いてしまったという反省を耳にいたしております。これはインターネットのというより、むしろ連絡網整備の方に問題があったというべきであります。  情報の一元化という課題を担うのは、災害対策本部となる行政の仕事であります。ただし、最新の現場の情報を把握して何がどこにどれくらい必要なのか。どこに行けば安全なのか。正確にわかるのはむしろ一般のボランティアの方々であります。緊急時にも最も信頼のできる情報を発信するシステムづくりは、災害ボランティアの方々と協力して初めてでき上がるのではないでしょうか。知事の見解をお尋ねしたいと思います。  万一に備えた情報発信のネットワークをつくり上げた後に随時情報伝達のための訓練が必要と考えられますが、いかがでしょうか。あわせてお尋ねをするものであります。  兼六園は本県が誇る日本三大庭園の一つであります。県民にとって非常に身近な庭園であると同時に、世界じゅうから見学者が訪れる名勝でもあります。しかし近年、入場者は減少傾向にあり、平成三年三百十四万人から昨年は二百九万人まで落ち込んでおります。そのうち、県民の入園者は一・四%にすぎないのであります。まず、地元から親しみと誇りを持って活性化を図ることが重要であると考えます。それは県庁移転後、県都の中心部の空洞化を回避し、活性化を図る重要なポイントでもあります。  現在も、春のお花見の季節やお年寄りの入園者に対して、庭園は無料で開放されております。しかし、公園は生き物であります。四季折々刻々と変わる自然や造園の妙は年に一回、二回入園してわかるものではありません。県民の皆様にもっと足を運びいただき、いつも自由に散策できる公園とするために兼六園の入園を無料化すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。  兼六園の管理事務所の職員の皆さんは、理想として日本を代表する造園のプロであることが望まれます。さらに管理事務所所長は、例えば国立博物館館長クラスであるべきでありましょう。無料化を進めるに当たって、加賀藩の歴史や園芸、庭園に興味のあるボランティアの方々に御協力をいただき、官民一体となったより高い次元の公園運営を図ってみてはいかがでございましょうか。  現在、県では藩政期に庭園内で行われたいろいろな催しや遊戯を調査研究いたしております。それを現代に再現しようという試みであります。県民の皆様にもこうした催しに御参加をいただきたいと思っております。県民の公園という愛着は、そうした一般の方々の継続的な御参加、御協力によってこそ深まると考えられます。時代の機運がそれを求めているのではないでしょうか。このような運営形態が公園を県民の手に戻すと同時に、県民全体の意識向上にも寄与すると考えます。それが結果的に公園全体のあらゆる質を高めていくことにもつながると信じます。県外からの見学者が何度来られても心から御満足いただける公園になるのではないでしょうか。知事の答弁を求めたいと思います。  続いて、特定非営利活動促進法施行条例に関して質問いたします。  今議会に提出された条例は三月に国会で成立した特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法を受けての手続条例でございます。NPO法のボランティア等の非営利活動を行う団体に対して法人格を与え、その活動を支援しようとするものであり、団体側にとっては社会的信用が高まる、公的援助を受けやすくなる等のメリットがあるとされております。  本制度の運用についてですが、法人格の取得が容易である反面、基本的に書面審査であるがために制度の悪用を見逃す可能性はないでしょうか。そのような場合、安易な法人取得が制度自体の信用の低下へとつながりかねません。まず、承認の判断基準をどのようにお考えなのかをお聞きします。  法人格取得後の活動については、毎年の事業報告書を事務的に受理するだけでしょうか。仮にそうならば、本来の目的を逸脱した活動がないかを十分チェックすることが難しいように思われます。純粋な気持ちで活動を続けておられる団体に対し、行政の一方的な判断は好ましくありませんので、制度悪用防止のため第三者機関などが必要かと思われますが、いかがでございましょうか。  行政とNPOの相互理解、協力、支援の関係は今より重要性を増すと思われます。しかし、お互いに干渉し過ぎるとNPOの主体性が失われないでしょうか。あるいは、行政がNPOを下請けとみなしたり、逆にNPOが行政が行うべき事業に割り込んできてしまう等の弊害が予想されます。あるいは、そのような形での行政改革ということも考えられますが、いずれにしろ法人格の取得に当たっては今後日本全国で同様の手続が行われていくと認識いたしております。しかし、NPOの支援については石川県独自の条例をつくり上げてはいかがと思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。  最後になりますが、戦後最大の日本の政治思想家、丸山真男を御存じのことと思います。彼は、日本古来からさまざまな時代や地域において封建的、宗教的、風習的なりわいの中に根差し、その底辺に広がる層を古層の文化と述べております。そこからの変革がなければ日本に真の民主主義は成り立たないのだと言っておられます。  ボランティアは社会性の高い市民活動の典型であります。ボランティア活動が大きく広がることは、まさに県民の意識を高め、その上民主性の高揚につながると考えております。一見身近なボランティア活動に丸山先生の言われる古層の文化を見直すきっかけがあるのではないでしょうか。  今後、ボランティア活動によって真の民主主義が確立されることを心から切望して、私の質問といたします。(拍手) ○議長(長憲二君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) 大幸議員の一般質問にお答えをいたしたいと思います。  まず第一点は、国際ボランティアについての御質問でありますが、国際ボランティアとしてヒマラヤのふもとまで参加をされたということでありますから、その心意気には大いに敬意を表したいというふうに思う次第であります。  私も先般、アメリカの西海岸を視察してまいりまして、いろんな福祉ボランティア皆さん方の活動を拝見をしましていろんな意見交換もしたわけでありますけれども、やはりあちらの方はこういったボランティア活動というものについて大変誇りを持っておられる。これは恐らく宗教の影響があるんではないかと思いますが、小さいころからいろんな教育、家庭でのしつけ等を通じて、人のために尽くすボランティア活動というのはすばらしいことなんだということがよくよく教育をされている。そんなことを改めて実感をいたしたところでもございます。  ボランティア活動については、思想というお話がございましたが、基本的には大幸議員御指摘のように個人個人が自分の自由な意思に基づいて発想し行動するということであろうと思いますし、御質問の中にもございましたが与えて求めずという、別の言葉で言えば人のために無償の精神で尽くす。そのことによるすがすがしさというふうなものは、これは人間にしか味わえない体験であろうというふうに思うわけでありまして、それぞれの御本人の人生をこれから本当に豊かにする。そういったものではないかと、このようにも思うわけでありまして、そういう意味ではまだ石川県内でもボランティア活動、総体としては緒についた段階ということではありますけれども、県民の皆さん方ボランティア活動により参加しやすい環境、土壌づくりはこれは我々一生懸命取り組んでいかなければいけない、こういうふうに思っておりますし、私自身についての御質問もございましたが、大幸議員ほどダイナミックなボランティア活動は経験したことはないわけでありますが、小学校から中学校時代は私もボーイスカウトに入っておりまして、ボーイスカウト活動の中で老人ホームへの慰問ですとかいろんな交通整理だとか、そういったことをやったことがございますし、高校時代には高校で傷害事件がございまして、それを契機にSSクラブという、これはソーシャルサービスクラブというクラブができまして、要するに社会奉仕活動に汗をかこうと、こういったクラブができまして、そこにも所属をしまして側溝の清掃とか草刈りとか、そういったことも経験をしたことがございます。  今から振り返ってみますと、確かに数学とか英語とか国語とかそういう勉強も大変大事でありますけれども、やっぱりそういった活動というのは人間の脳裏に今でもはっきり焼きついておるもんだなと、そういう実感をいたしているところでございます。  次に、県民ボランティアセンターについての御質問でありますけれども、そもそもの発端は昨年の重油流出災害でありましたし、それ以前にも自然保護あるいは福祉等々、国際交流などのボランティア皆さん方とお出会いする機会があった折に、お互いのボランティア活動をやっている方々の出会いの場あるいは情報交換の場、そういった場がぜひ欲しいという話もございました。そういったことを踏まえて県民ボランティアセンターというものを設置をさせていただいたわけでありまして、そういった意味での土壌づくりにはぜひ県民ボランティアセンターを活用して積極的に取り組みを進めていかなければいけないと、こういうふうに思っておるわけであります。  最近、民間でも他県ではNPOを個別に支援する民間主体のサポートセンターというふうなものが設立をされているわけでありまして、恐らく石川県の場合でもいずれそういうふうな動きがやはり出てくるのではないのかなと。そういった動きも見きわめながらこれからもひとつ後方支援といいますか、そういったものを怠ってはならないなと、このように思っておるところであります。  次に、情報ネットワークについての御質問がございました。昨年の重油流出・漂着の際には二十万人の方々に油の回収に参加をいただきました。そのうち約十万人の方がボランティアと、このように言われておるわけでございます。いまだかつて経験のしたことのない大災害でありまして、石川県でもまたかつてない多くのボランティア皆さん方に油の回収に参加をしていただいたと、こういうことでありますし、その中で議員御指摘のようにボランティア皆さん方に対する情報提供あるいはボランティアと行政の連携、そういったものの大切さというものを改めて認識もいたしたところであります。  災害情報の一元化につきましては、基本的には災害対策本部が設置をされるわけでありますから、そこで情報を一元化して対応すると。情報が多元化し、ばらばらになっておったんでは効果的な災害対策が講じられない、こういうことでもございます。もちろんその中心は県なり市町村なり、あるいは自衛隊なり海上保安部なり、そういった行政機関がその中心的な役割を果たしていかなければいけないということでありますが、あの重油の流出災害を顧みますと、いわゆる加賀の塩屋海岸から珠洲の端まで、いわば石川県の外浦地域一帯に油が次々と漂着をしたわけであります。現地で油の漂着状況等観察をいただいておりました、いわばボランティア皆さん方の第一線の情報というものもこれまた大変大事な役割を占めるわけでございますので、そういった意味での系統的なといいますか、体系的な情報ネットワーク体制、こういったものが必要ではないのかな、このようにも考えているところでありまして、そしてこれは一朝事があったときにすぐに対応できるというものではもちろんございませんので、毎年行って防災訓練、そういったものを通じてこういった情報ネットワークの構築というものをより確かなものにしていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思っております。  現に防災訓練の中では、災害ボランティア協力としてアマチュア無線をやっておられる皆さん方と相提携をしまして情報収集伝達訓練、こういったことも実施をいたしております。こういった輪をさらに広げてまいりたいと、このようにも思っておるところでございます。  次に、兼六園についての御質問がございましたが、兼六園につきましてはいろんな御意見があるわけでございまして、有料化についていろんな議論が行われ、その結論が出たという経緯もこれまた大変大事でございますし、兼六園の場合は何といいましても特別名勝の指定も受けておるわけでありますし、石川県を代表する文化資産であると同時に、我々日本を代表する文化資産ではなかろうか、このようにも思っておるわけでありまして、一番大事なことはこの兼六園を間違えることなく、百年、二百年、三百年後の子々孫々にこの文化財庭園をしっかりと保存をし伝えていくということが一番大事な視点ではないのかな、このようにも思っておるところでございます。  もちろん県民の皆さん方の御利用ということについても十分これは配慮していかなければいけないということでございますが、県民の利用が一・四%という話もございましたが、これはある二月の一日をとらえただけということでございまして、それ以後、県民無料鑑賞の日というのもございます。それらをトータル的にとらえてみますと、推計ではありますけれども利用者の一五%が県民の方というふうな推計も成り立つわけでございます。  ただ、これを無料開放するかどうかということにつきましては、なかなか軽々に判断できない事柄ではないかなと、このように思っているわけでありまして、一番大事なことは文化財庭園を子々孫々に守り伝えていく。東京都でも文化財庭園を一時無料開放し、数年後にはまた有料化に戻されたという経緯がございます。私も現場へ行っておりませんのでわかりませんが、聞くところによりますと無料化したことによって文化財庭園が非常に荒廃をした。その後遺症がいまだに残っておるという話もあるわけでございます。いわば兼六園も公園というスタイルから、国民共有の文化資産としてのいわゆる文化財庭園として大きく今飛躍をしておるということでもあろうと思います。  市街地の空洞化という問題は今金沢市の方でも附属小中学校の跡地ににぎわいを創出するための具体的なプランをお進めでありますし、いずれ県庁が移転をしてまいりますとこの県庁の跡地利用につきましても、これはもちろん兼六園周辺文化ゾーンの一角でありますから、それにふさわしいにぎわいの創出といったものも考えていかなきゃいかぬと思いますし、それから金沢城址につきましては平成十三年の都市緑化フェアを目指しまして、今本物志向で櫓、石垣、お堀等々の整備を進めているところでございます。平成十三年までは県民の皆さん方には開放できない。これは御辛抱をいただかなければいけないと思いますけれども、緑化フェア終了後にはこれは県民の皆さん方に開放されるということでございます。もちろん重要文化財である石川門とかいろんな施設につきましては、これはそれなりの管理を別途やっていく必要があろうと思いますけれども、そういった形でにぎわい創出のためのいろんな方策が今真剣に検討され、実行に移されようとしておるわけでありますので、その辺の推移というものも十分見きわめていく必要があるのではないか、このようにも思っておるところであります。  それからもう一つ、これは経費がどうのこうのという話ではございませんが、文化資産としての兼六園の維持管理に要する経費、これにつきましては端的に言えば財政状況も大変厳しい中でございますし、この国民文化資産を県民の方々だけではなくして県外の方々にもある意味では御負担をいただいて、文化資産である兼六園を子々孫々にまで保存をしていくということもやはり一つの視点ではないのかな、このようにも考えているところであります。  次に、NPOについての御質問がございました。NPO法はもともと議員立法として成立をしたわけでありまして、底に流れている精神は行政の裁量にゆだねることを極力排除をしようと。行政の裁量は許さない。こういうことがその底に流れているようでございまして、立法者の意図が法律として実現をできるように、条例や政令の委任はできる限りなくそうと。基本的な事項はすべて法律に書き込もう。こういう形でこれが議員立法として成立をしたということがございますので、その趣旨は我々は大いに尊重していかなければいけないということでございますので、この認証の判断はNPO法の定めるところに従い、厳正に行ってまいるということでございます。いろいろ御心配の点もあるわけでございますが、申請者の定款、事業計画書、収支予算書、こういったものは二カ月間一般に供覧するということにもなっておりますし、毎年の運営状況につきましても一般の供覧に供されると、これは法律で担保されておるわけでありますから、そういう情報公開によるいわば住民監視の機会が与えられるわけでございますから、不適切な団体は淘汰をされていくんではないかと、このように考えているところであります。  次に、第三者機関という話がございましたが、今申し上げましたように法律の趣旨が簡便に法人格取得の道を開くと、行政のそういう裁量行為は許さないと、こういう前提に立っておるものでありますから、法人設立の要件が書類で確認できれば所轄庁、行政庁としてはそれを認証しなければならないということが義務づけられております。裁量の余地が全くないということでありますので、そういった第三者機関の設置ということは大変難しいんではないか、このように思っておるわけであります。  次に、県独自の条例という話がございましたが、このNPOに対するいろんな支援は私どもボランティア活動を行うNPOに対しまして県民ボランティアセンターを通じて、ボランティア活動の保険料の助成ですとか交流会、研修会の開催あるいはいろんな情報提供、こういった形での御支援を申し上げているところでありますし、ボランティア団体以外のNPOというのも当然出てこようかと思いますが、そういったところに対しては相談窓口も設置をしまして、いろいろ設立手続等の相談にも応じております。現在二十三件ほどの問い合わせがあるということでございます。  そして、収益事業を行わない特定非営利活動法人の県民税はこれを減免するということも今回の議会に条例案としてお願いいたしておるところでございます。その他の支援につきましては、どういう団体から具体的に申請があるのか、その実情をちょっと私ども見きわめていかなければいけませんし、現に議員立法の際にも附帯決議で、このNPOに対しましては活動の実態をこれからは見きわめた上で、税制等も含めて法律施行の日から二年以内に見直しを行う、こういう附帯決議がございますので、その辺の動向等もひとつ見きわめていく必要があるんではないかと、このように思っているところであります。 ○議長(長憲二君) 杉本副知事。
     〔副知事(杉本勇壽君)登壇〕 ◎副知事(杉本勇壽君) 私自身のボランティア活動と申しますと、さしたることもございませんけれども、十五、六年前に県職員のマジッククラブ、それから謡曲、民謡クラブ、こういうようなクラブの皆さんと合同で老人ホーム等への施設訪問、慰問に二、三度参加させていただきました。これくらいで個人的にボランティア活動したという経験はございません。  ただ、こういう席で申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、今世界の子供たちへの医療とか教育の支援活動を行っております国境なき医師団、それからユニセフの活動に共鳴をいたしまして、数年前から貧者の一灯を送らせていただいておると、これが私のボランティア精神と申しますか、こういうことで御理解をいただきたいと思います。 ○議長(長憲二君) 北川県民文化局長。  〔県民文化局長(北川邦昭君)登壇〕 ◎県民文化局長(北川邦昭君) ボランティアに関して数点お答えをさせていただきます。  まず、私自身のボランティアの実践活動ということでございますが、私はそんなに人様の前でお話できるような活動は特別いたしておりません。清掃活動等に参加したことはございますが、とりたてて継続をして実践をしておるという活動はございません。しかし、これからは余り無理をせずにそういったいろんな方面でのボランティア活動に参加するという、そういったことは必要であると、していきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、専門知識を持ったボランティアの登録ということを立ち上げる必要があるんではないかという御質問でございます。専門的なボランティアの登録については、県内には既に通訳ボランティアあるいは砂防ボランティア、観光案内ボランティア、市町村社会福祉協議会ごとの福祉関係ボランティアと、こういった分野については関係機関において登録をされておるところでございます。また最近、消防庁におきまして災害ボランティア全国バンク設立といった動きも出てきております。このような状況も見ながら、専門のボランティアの登録については今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。  それから、国外での災害ボランティア活動に対する現地の情報提供というような御発言でございました。本県におきましては諸外国における治安、渡航情報など各情報の収集は外務省が発表している海外危険情報、海外安全情報サービスなどにより、常時情報収集に努めております。特に災害時においては、災害情報はもちろん現地の社会情勢や相手国への渡航情報など災害のみならず幅広い各種の情報の収集が必要と考えております。このため、国外での災害発生時には外務省はもとより諸外国に海外事務所を有する国際協力事業団、日本貿易振興会、自治体国際化協会や日本赤十字社などを通じ、現地情報の収集に努め、ボランティア活動に参加する方々のニーズにできる限りこたえていきたいというふうに考えております。  それから、大学の講座開設を県としても働きかけてはどうかという御提案でございました。講座の開設につきましては、各学校の判断によるところであるというふうに考えております。県といたしましては、ボランティアセンターが発行する各種のガイドや交流名簿等の情報誌、こういったものをこれまでも大学へお届けさせていただいておりますけれども、今後ともこういった情報提供などを通じまして各大学と連携を密にしていきたいと、このように考えておるところでございます。 ○議長(長憲二君) 西教育長。  〔教育長(西貞夫君)登壇〕 ◎教育長(西貞夫君) 二点お答えをいたします。  まず、私自身のボランティア体験ということでありますが、私は中学生の時代からテニスをずっとやっておりまして、長期にわたるボランティアというのはこのテニスを通じた形で後進の指導育成ということで、若い時分から協会の役員という形で競技力の向上ということで、つい最近までずっとやっておりました。最近は公務多忙ということでなかなか地域活動に参加できないということ、大変残念に思っておりますが、退職後は健康が許す範囲内で社会に貢献できるように頑張っていきたいなと、こういうふうな思いを持っております。  次に、幼児期からのボランティア教育ということでお尋ねがございました。幼児期からのボランティア教育を通じて思いやりや自主性あるいは社会性をはぐくむことは極めて重要なことというふうに考えております。  教育委員会といたしましてはボランティア教育に関する施策を種々講じておりますけれども、少し具体的に申し上げますと、特に幼児期につきましては古切手とか空き缶の収集活動、こういうことに重点を置いております。それから、地域の清掃、福祉施設の訪問、それから中学生とか高校生を対象としたボランティアリーダーの養成講座の開催、それから家庭教育のためのテレビ番組でありますが、「げんき日記」というのがございます。この中でボランティア活動の大切さを普及啓発するという、こうした事業を実施をいたしております。今後とも学校、家庭教育あるいは社会全体を通じまして、そういう連携のもとになお一層ボランティア教育の推進に努めてまいりたい、かように考えております。  以上でございます。 ○議長(長憲二君) 庄源一君。  〔庄源一君登壇、拍手〕 ◆(庄源一君) 質問に入ります前に、去る七月二十二日から十日間、私は東海北陸七県議会議員北米行政産業視察に参加をさせていただきました。本県の善田議員を団長としてアメリカのランシング、デトロイト、カナダのトロント及びモントリオールの四都市を視察してまいりました。私にとって北米は初めての視察であり、成熟したデモクラシーを持つ北米の政治経済システムに直接触れてみたいと思っておりましたので、絶好の機会になりましたことに深く感謝するものであります。  地方行政事情から教育改革、地方制度改革、環境対策等の多岐にわたる中から、特に私が感銘を覚えたものについて簡単に二点述べたいと思います。  一つには、何といっても議会政治のシステムの違いであります。ミシガン州議会の場合、知事、上院議員とも任期は四年で二期八年までであります。下院議員は任期二年で三期六年までであります。二大政党以外のマイナリティの政党は立候補ができるがほとんど当選をできず、アメリカでは共和党か民主党でなければ当選できないのであります。民主党は都市部に強く、共和党は農村地域で強い。この辺は日本にもそっくりのようであります。  ちなみに、ミシガン州知事の報酬は年間十五万ドル、議員一人当たりは六万三千ドル、日本円で約八百五十万前後でありますが、ただし与党の議員には五名の政策スタッフがつき、年間十九万五千ドルが支払われ、野党の議員一人に三名のスタッフ分、十二万ドルが支給される仕組みになっております。政策スタッフを置いて政策立案に重点を置くシステムでありました。  また、政治献金については選挙時は別として上院議員の四年任期中に一人千ドル。下院議員は二年の任期中に一人五百ドルという厳しい制限がついております。私が「企業と癒着する利権議員はおりますか」という質問に議会の事務局長は私をにらみつけて、「連邦議員にはロビイストと言われる人はいるかもしれませんが、州議会には一人もおりません」としかられました。アメリカの国民のために政策立案に取り組む州議会議員の姿勢に改めて議員の本分を教えられる思いでありました。  谷本知事もこの八月、アメリカ西海岸の視察に行かれました。私どもとは視察内容も違うわけでありますが、知事も当然アメリカの政治システムや行政の仕組みについても研究されたことと思います。そこで、日本とアメリカとの行政の違いについてどのような感想を持たれたのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。  二点目は、教育改革とチャータースクールについてであります。クリントン大統領の後押しもあって、アメリカ各州の教育改革の手法として今チャータースクールが注目を浴びております。チャータースクールとは一口に言えば、公立学校と私立学校の中間に位置づけられ、あくまで身分は公立学校として資金は出すが教育委員会の干渉は受けない制度であります。例えば石川県では三学区制をとっておりますが、チャータースクールでは生徒が学校を選択をし、生徒一人の移動に伴って州政府から一人当たり年五千八百ドルの補助金が移動するシステムになっております。生徒は州内であれば自由に好きな学校を選択することができ、教育の現場に競争原理を採用した方法であります。  教員は学校区単位──日本で言えば市町村単位に当たりますか──で採用し、カリキュラムも学校区で組み、教育委員会の影響は受けないという画期的なものでありました。問題点も多々あると思いますが、既存の制度に刺激を与え、生徒や教員にやる気を起こさせるものであります。  チャータースクールは生徒の自主性を重んじる米国の教育改革でありますが、西教育長はこれをどのように考えてとらえておいでるのか。また、本県の教育改革についての所見を承っておきたいと思います。  さて、ロシアの経済危機に端を発した今回の世界同時株安は金融不安に一層拍車をかけ、回復どころか深刻な景気の泥沼化が懸念をされています。まさに前途多難の一語に尽きます。  企業倒産は続出をし、失業者はちまたにあふれています。まさに日本経済は景気後退と物価下落が同時進行するデフレスパイラルの様相に入っていく危険性が大だと専門家は指摘をしております。とにかく今は、まず何といっても景気の回復であり、市場に消費者を呼び戻す誘導策が重要であります。  そこで質問の一点目に、県は六月補正で五百七十億円もの総合経済対策を実施をしましたが、その効果は果たしてどうだったのか。今のところ顕著な成果も見られず、一般県民には何の手ごたえも感じないというのが実感のようであります。経済対策の進捗状況及び県内経済の現状はどの程度にあるのかをお尋ねをしておきたいと思います。  二点目に、今回の補正予算で具体的にどのような景気刺激策を講じたのでしょうか。また、個人の購買意欲が低下している中で、直接消費を喚起する方法はないのでしょうか。  例えばこういう例があります。東京都内の各区が地域限定の商品券を利用して不況にあえぐ地元商店街の活性化に知恵を絞っています。例えば東京の港区では、共通商品券をまとめ買いする客にこの補助金で額面の一割から二割分を上乗せするサービスをしたところ、一度に百万円以上を購入する主婦が殺到。補助金を使い切ったため販売を二カ月で打ち切ったが、既に販売した商品券の六割が使用されているというのであります。商店街では商品券の束と一緒に客が戻ってきたと活気づき、港区商工課では行政の景気刺激策はこれまで公共事業や融資のあっせんなど事業所向けが多かったが、これからの時代は個人の直接消費に目を向けたいと語っているのであります。  今、これに刺激を受けて同様の景気対策に乗り出す自治体が全国でふえてきているのであります。県は、この個人消費の喚起策にどのような対応を考えておいでるのか、お聞かせを願いたいと思います。  次に、小松空港周辺生活環境整備費として県単独事業で六百七十万円の予算が計上をされています。  航空プラザ用地取得調査費でありますが、用地の取得調査であればこんなに費用はかからないと思います。自衛隊官舎の移転補償費も含まれていると聞きますが、全体の構想内容とそれにかかわる費用の総額はいかほどになるのか、具体的にお尋ねをしておきます。  次に、農業公園内に多目的広場を整備し、平成十二年開催の全国スポレク祭の壮年サッカー大会の会場に充てるため、事業費七千万円が計上されております。  農業公園自体は七年度に基本構想が策定をされましたが、時代のニーズに合致しているのかどうか、私は再検討が必要と思います。そういう意味からしても、経過的にとりあえず多目的広場として暫定的に活用することはまことに大事なことであります。特に最近は、サッカーやグランドゴルフの愛好者が年々増加をしており、事あるごとにグラウンド整備の要望が多いのであります。したがって、スポレク祭終了後にどのような利活用を考えているのか、これも具体的にお聞かせをいただきたいと思います。  次の質問は、世界遺産の登録についてお尋ねをいたします。  世界遺産条約、正式名は世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約でありますが、一九七二年ユネスコ総会で採択された条約であります。この条約の目的は、世界的に価値の高い文化遺産や自然遺産は人類共有の財産であるとの認識に立って、各国が協力をしてその保存を図ろうとするものであります。  日本では一九九二年六月に批准を行い、政府はその文化遺産として法隆寺と姫路城を、自然遺産として屋久島と白神山地を決定をしました。九四年には古都京都の文化財、九五年には白川郷・五箇山の合掌づくり集落が登録をされました。九六年十二月には広島の原爆ドームと厳島神社が登録をされ、さらに本年十二月に古都奈良の文化財が、来年には日光社寺も推薦の予定と伺っております。  現在、世界では五百五十二件が世界遺産一覧表に登録をされています。本年十二月に世界遺産委員会が京都市で開かれます。これを機に、世界遺産の登録に各県から名乗りを上げる地域がふえております。すなわち知床半島、小笠原諸島、富士山、熊野地域、琵琶湖、鳴門の渦潮、沖縄の南西諸島などです。観光の振興に、自然保護の切り札に各県の思惑はさまざまでありましょうが、本県の取り組みはどうなのでしょうか。  本県にも文化遺産としての価値を持つ、先ほども議論がありました特別名勝の兼六園が世界遺産に登録できないものでしょうか。私は今、兼六園の議論がありますが、兼六園の価値を一層高めることが最も重要と考えております。  兼六園の中には重要文化財の成巽閣、また辰巳用水や銅像としては日本最古の明治記念之標、また最古の自然の噴水など、その文化的、技術的価値ははかり知れないものがあります。兼六園は先ほど知事が申しておりましたが、子孫末代までも県民の宝として保存管理していかなければなりません。そういう意味でも、世界遺産に登録をしていくことが石川からの世界に発するメッセージだと思いますが、いかがでしょうか。  兼六園は国内では大変有名でありますが、まだ海外にまでその知名度はありません。もし世界遺産に登録されればインターネット上に乗り、世界に情報発信をされます。世界各国から多くの観光客も金沢に来ることでしょう。知事及び教育長のお考えをお聞かせ願いたいのであります。  次に、介護保険問題について二点お聞きします。  先般も介護支援専門員の認定試験に二千六百名を上回る応募があり、介護保険制度に対する関心の高さを示していると思います。今議会でも多くの質問がありましたので、私はサービスと負担の二点について質問をしたいと思います。  一点目のサービスについては、四十歳から強制的に保険料が徴収をされます。しかし、介護が必要な状態であるという要介護認定を受けない限り、介護保険は適用されません。いわゆる認定審査会の認定基準の問題であります。この高いハードルに阻まれ、多くの人たちが介護保険を受けられず、掛け捨てになることが懸念をされています。その背景には、特養などの入所させる施設の絶対的不足であります。今回の補正予算で新設四カ所の特養ホームを前倒しして建設することは評価したいのでありますが、平成十二年度の制度発足までに特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設介護に対応する施設建設にどう県は取り組むのか。具体的数字で示していただきたいと思います。  二点目には、保険料負担の問題であります。厚生省の試算では、制度発足時点での一人当たり保険料月額は二千五百円と言われておりますが、高齢化が進む県では保険料がどうしても高くなると指摘されています。例えば、先般高知県では六十五歳以上の県民一人当たりの平均介護保険料は月三千八百円と試算をされ、全国自治体関係者の間で波紋が広がっております。  国の保険料試算の根拠として挙げている在宅介護と施設介護の比率を七五対二五としているわけですが、高知県では県内の実情を踏まえ、六〇対四〇に設定したとのことですが、施設に入る人の割合が高ければ高いほど保険料は上昇するわけであります。ちなみに高知県では、施設入所者が多い市町村では月額六千百円という試算も出ているようであります。さらに国においては来年度からホームヘルパーの報酬引き上げが検討されており、そうなればますます介護費用全体の上昇につながり、保険料はさらに引き上げざるを得ないのであります。  二〇〇〇年四月の導入時に、我が県においては市町村ごとの保険料は一律なのか。あるいは地域的なばらつきが出てくるのかどうか、まずお聞きしておきたいと思います。  また、本県では保険料試算の根拠となる在宅介護と施設介護の比率をどのように設定をし、その結果、県としての平均の保険料はどうなるのか、あわせてお尋ねをしておきたいと思います。  次に、河北潟周辺の水害被害の問題であります。  本日も台風七号が接近をしておりまして、その影響が懸念されるところでありますが、去る十七日も低気圧の通過によって県内各地で被害が続出をしました。夜来からの激しい雨によって浸水被害が広がり、河北潟では大しけで水門が開放できず、水位が一メートルの危険水位を超え、金沢市湊地区の工場団地では二十一棟が水浸しとなり、操業停止を余儀なくされたのであります。  私も早朝、連絡を受けて現場に駆けつけたのでありますが、特に県の消防学校に隣接する地域がひざまで来る浸水被害を受け、工場内にあるコンピュータや精密機器、レーザー加工機や油圧式エレベーター等が停止する被害に見舞われました。ことしに入ってから八月の集中豪雨で二回、そして今回と頻繁に襲われ、不況の厳しい時期にダブルパンチを浴びたとやり場のない怒りをあらわにしておりました。  関係者の話によりますと、河北潟の防潮水門が午前二時十八分に一たん開放したものの、大しけのために十分後に閉門し、ちょうど満潮時とも重なって大野川の水が河口に流れず、水路がはんらんして一帯が水浸しになったとのことであります。  確かに側溝や内水排除の問題がありますが、内灘放水路及び金沢港の防潮水門の開閉と河川、水路からのはんらんには私は県にも責任があるのであります。なぜかならば、この工業団地は河北潟の埋め立てによって造成されたものであるからです。排水ポンプ等の取りつけなども含めてその防止策と抜本的な対策について県の対応をお聞きしたい。  また、今回は能登地域で漁船の転覆や定置網の流失、また小松の温泉ではコイ五千匹の流失など大きな被害が出ました。これら被害を受けられた企業や温泉、そして農林水産業関係者の方々への融資制度を含めた支援策についてもあわせてお聞きしておきたいと思います。  最後に、警察本部長にお尋ねをいたします。  和歌山や新潟で毒物混入事件が相次ぐ中、青酸や砒素などの毒物鑑定体制を強化する必要があります。現在、各警察本部に配備されているものは有機系物質の分析装置で大半が覚せい剤用で、今回の事件のような青酸や砒素、またアジ化ナトリウムなどの無機系毒物の分析に必要な装置は配備されていないと聞いておりますが、毒物混入事件がいつ本県でも起きるかわからないのであります。その対応と必要な分析装置の整備についてお聞きをしておきたいと思います。  二点目に、ハイテク犯罪の防止についてお聞きをいたします。インターネットを初めコンピュータネットワークは国境、地域を越えて広がっておりますが、現行の国内法ではコンピュータに不正侵入をするハッカーを取り締まる規定がないと聞いております。五月のバーミンガムサミットでも各国がハイテク犯罪防止の体制を進めることで合意をしておりますが、このネット犯罪を取り締まるサイバーポリス──電脳警察体制についてどのように考えているのか、お尋ねをして私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(長憲二君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) 庄源議員の一般質問にお答えをいたします。  まず第一点は、北米の行政視察の結果についてということでございますが、庄源議員とは少し私は視察の目的が異なるわけでございますけれども、政治行政の仕組み、まさにアメリカの市町村というのは地方分権がある意味では徹底的に進んでいるなということを実感をしたわけでありまして、エルパソ市では市長さんが名実ともに権限を持って采配をしておられましたし、モントレー市へ参りますと市長さんは名誉職ということで、その下の助役さんに相当する方が市政全般の仕切りをやっておられると、まさに地域によって行政の機構もさまざまだということを実感をしたわけであります。  ただ、共通して言えることはそれぞれ地域の市民の皆さん方がいわゆる指導権を持ちながらいろんな対応をやっておられる。それを行政が積極的に後押しをしているということを改めて実感をしたわけでありまして、エルパソの高齢者福祉の機関でありますデイケアセンターとかシアトルのダウンタウンシアトル協会、まちづくり協会あるいはシリコンバレーにおきますジョイント・ベンチャー・シリコンバレー・ネットワーク、こういった中でもいわゆる産と学と官のリーダーがある意味では市民の立場で積極的に参加をして、それぞれの持てる能力を一〇〇%発揮をして協力するということがまさに地域社会の活性化につながるんだと、こういう明確な哲学を持って取り組んでおられるということを改めて実感をしたわけでありまして、産業を支援し、産業の活性化を図ることが地域の活性化にもつながると、こういう明確なお考えをお持ちであるということを改めて実感をしたところでございます。  それと、失敗は繰り返しても、その失敗を批判しないとか、成功した者に対しては率直にこれを褒めたたえるとか、そういった風土というのもこれまた大変大事なことであるということを実感をしたところであります。  次に、景気対策についての御質問でありますが、実効のほどはどうかということでございますが、六月補正予算でも六百億近くに上るいわば経済対策予算を組んだわけでございますが、その中心をなすのは中小企業への融資、そして公共事業、こういうことになるわけでございますが、公共事業はおのずから発注に至るまでに設計等を踏まえる準備期間がございますので、まだ目に見える形で出てきていないということでございますが、恐らくこの秋ごろから本格的な発注、受注という段階に入ってくるんではないかと、そのようにも思っておるところでございます。  中小企業金融対策プログラムにつきましては、県の緊急支援融資、大変多くの皆さん方に御利用もいただいておるわけでございます。私どもも公共投資を追加することによって景気が回復軌道に乗り、企業の収益改善につながり、そして県税収入の増加にもつながると。早くこういう循環サイクルに入ってもらいたいなということは我々も実は祈るような気持ちでございます。これからも必要に応じて的確な手は打っていかなければいけないな、このようにも思っているところであります。  そして、個人消費についての御質問がございました。個人消費はGDPでもその六〇%を占める。石川県のいわば県内総生産の中でも七割のウエートを占めるということでありますから、個人消費の拡大は景気回復のための大変大きなポイントであろうと思います。ただ、状況としては何というんでしょうか、大変豊かなんだけれども不況下にあるという。買うものがないというふうな何か非常に奇妙な状況が今現出をしているわけでありまして、こういう中で消費意欲を上げるということはなかなか容易ではないなということの実感もいたしておるわけであります。  いずれにしましても、税制の面では所得税、個人住民税、特別減税をさらに実施をするという方向も今国で模索をされておるわけでありますし、その辺の減税が消費にどれだけ効果を及ぼすのか。これはやってみなければわからないところもございますけれども、そういった方向も間接的ではありますけれども一つの方向だろうというふうに思いますし、さらにより直接的に政策減税というような形で住宅の取得を促進するとか、そういう税制と消費需要の喚起をより直接的な形で結びつける、そういう方策もやっぱり検討されておるということであります。  議員御指摘の商品券の話がございましたが、これも我々県の方でいろんな経済対策を講ずる折に、県の職員に商品券を給料にかえて一部渡してはどうかというようなことも少し検討したわけでございますが、職員に商品券を渡すということは地方公務員法に抵触をすると。地方公務員法は本人に直接現金で渡さなければいけないというのが法律上明記をされておりますので、商品券は現金ではないということでございますので、法律違反はできないと、こういうことでありましたし、県内に出回っている商品券の購入意欲をそそるというようなことも方法としてはあるんでしょうけども、残念ながら石川県の場合には商品券はデパート、百貨店の商品券がほとんどでございまして、そういった購入促進ということをします場合には特定のデパートのみへ買い物に行かざるを得ないというふうな状況にもなるということでなかなか難しい問題があるなと。  商店街、特に金沢の商店街はかつては商品券の発行をしておられたんでありますが、総論と個別の利害が対立をして商品券の発行を平成四年でおやめになったということもあるわけでありまして、その辺の土壌の整備というものも何か必要なんではないのかなというふうな実は思いがいたしておるわけでございます。  次に、農業公園用地の利活用でありますが、農業公園につきましては今基盤造成を行っておるわけでありまして、平成十年度に基盤造成が終わるわけでございます。平成十二年のスポレク祭の壮年サッカーの用地としてとりあえず芝生広場を整備をして会場として利用する、こういう方法を考えておるわけでありますが、その後の活用方法ということにつきましては暫定的な方法としてはいろんなイベント広場ですとか家族連れの憩いの場、そういった活用方法があるんだろうと思いますが、本格的な将来の利用方法につきましては農水省の基盤整備の予算をここへ投入をいたしておりますので、余り農水省というのか農林水産業の振興とかけ離れた形での活用というのはなかなか難しいんではないのかなという思いを個人的にはいたしておるわけでございますが、それと農業公園につきましての案も一応プランも策定はしたわけでございますが、庄源議員御指摘のように、まだこれはきちっとオーソライズはされていないわけでございます。必要があればこれの見直し、再検討もしていく必要があるんではないかというふうに思いますし、そしてさらに将来的には百五十九号の津幡バイパスがいずれにしても平成十四年、十五年ころには整備をされてくるということもございます。そういったことも十分にらんでいかなければいけない、考慮に入れていかなければいけないんではないかというふうに思いますし、そういう意味ではこれからもひとつまたいろんな方の御意見、議会のまた皆さん方の御意見も承りながら、さらに精力的に検討を重ねてまいりたい、このように思っておるところであります。  次に、世界遺産の登録についての御質問がございました。兼六園を世界遺産に登録をしてはというお尋ねでございます。兼六園は昭和六十一年には特別名勝の指定も受けましたし、名実ともに文化財庭園としての資格を備えておるということでありますし、三大名園と言われておりますが、その中でも我々はトップクラスだと、このように位置づけもいたしておるわけでございます。兼六園の価値を高めていくための方策として世界遺産登録というお話でございました。現在、八件が日本国内では登録をされておるということでございます。古都京都の文化財として苔寺とか竜安寺の石庭、そういったものも世界遺産の登録を受けておるわけでございます。これらはそれぞれの歴史を踏まえて、それにふさわしい保存管理が行われてきたということがあるんだろうというふうに思います。  兼六園の世界遺産登録につきましては、私ども内々文化庁に問い合わせもしたわけでございますが、大変ハードルは正直言って高いようでございますけれども、理想は高く掲げ夢を将来に託すということも大変大事でございますので、いずれにしましても議員御指摘のように兼六園を百年、二百年、三百年後、子々孫々にまでしっかりとこれを保存し伝えていくということが大変大事でございますし、まずそういう意味ではこの管理には万全を期していかなければいけないんではないかというふうに思います。  今年度は、いわゆる利用者の方々の踏圧等による影響等も含めまして、樹木、土壌、水質等の総合的な調査を今実施をいたしておるところでございます。保全対策には万全を期して、将来の夢でありましょうけれども世界遺産の登録ということが行われればこんなすばらしいことはないんではないかというふうに思います。ハードルは高いわけでございますが、我々も絶えず兼六園についてはそういうことも念頭に置きながら、この保存管理にはさらに万全を期していかなければいけないな、このように考えているところであります。  次に、介護保険の問題の施設介護についての御質問がございました。この施設介護の整備の基盤のよりどころは老人保健福祉計画があるわけでございまして、それに基づいて整備を進めてきているわけでありますが、今回の補正予算で国の総合経済対策の活用でこういった施設につきましても前倒しで整備をするということに相なりました。そういう意味で、特別養護老人ホームにつきましても今回の予算で手当てをすることによりまして、老人保健福祉計画で定めております目標は一〇〇%達成をするということに相なるわけでございますが、我々もこれで足れりということではございませんので、今介護保険導入を見据えてお年寄りの実態調査を各市町村でおやりになっております。その結果もさらに我々これから踏まえていかなければいけませんし、市町村とも御相談をしていかなければいけないと思います。  平成十一年度には、この老人保健福祉計画にかわりまして老人保健事業支援計画というものを五カ年計画でありますが策定をするということになっておりますので、この計画に基づいてハード、ソフト両面の、もちろん在宅介護の基盤整備もあわせて進めていくということは当然でございますけれども、この計画に基づいて進めるということに相なります。その中でも、地域によりまして前倒しでさらに整備をしていかなければいけないというものがありますれば、市町村ともよく御相談をしながら早め早めに手を打っていく必要があろうと、このように考えているところであります。  次に、水害についての御質問がございました。九月十七日の豪雨の際に河北潟の放水路の水門の締め切り、それから防潮水門の締め切り、これは当然のことながら海水の遡上、塩分の遡上を防止をして河北潟の農業用水としての質を落とさない、こういった方途でやっておるわけでございますが、議員御指摘のように出水時がちょうど満潮時刻とも重なりまして、また日本海の波浪が大変大きかったというようないろんなことが二重、三重に重なりまして被害が大変大きくなったということでございます。恐らく今後もこういう事態が起こるということは十分考えられるんではないかと、このようにも思うわけでございます。  浸水防止対策、今直ちにすぐ効果的な方途というのもなかなか難しいわけでございますけれども、市街地排水につきましては金沢市の所管ということもございます。金沢市とも十分これからも協議をしてまいりまして、ひとつ有効な対策につきましてはぜひ鋭意検討をしてまいりたいと、このように今思っておるところでございます。貯木場の護岸等がこれは民有護岸というふうなそういう制約もございますけれども、ひとつお話し合いも進めながら金沢市とも十分協議をしながら、さらに鋭意検討を進めてまいりたいと、このように考えておるところであります。 ○議長(長憲二君) 荒川企画開発部長。  〔企画開発部長(荒川敦君)登壇〕 ◎企画開発部長(荒川敦君) 小松空港周辺生活環境整備についてお答えいたします。  今回の補正予算で計上をお願いしております小松空港周辺生活環境整備費についてでございますけれども、航空プラザに隣接いたします官舎用地を取得する際に移転が必要となります建物についての移転補償費を算出するために建物調査を実施するというものでございます。  この航空プラザですけれども、航空機の展示のほかに多目的ホールでのイベントの開催など、南加賀地区におきます展示会場としての機能も備えているということでございますけれども、そのイベントの開催時におきまして現有の駐車場では不足をいたしまして周辺の町内道路ですとか農道での不法駐車などが発生しているということでございまして、多目的ホールの利用促進を図るためにもさらなる駐車場の確保がぜひ必要であるというふうに考えておりまして、このためにこのプラザの利用促進と利便性の向上を図るために隣接いたします官舎用地を取得し、航空プラザの駐車場として活用したいというふうに考えているところでございます。  今後、建物調査費の計上をお認めいただいた後に建物調査を実施するということでございまして、その総費用につきましては建物移転補償費の算定ですとか土地の鑑定を行う必要がございますので、現時点で具体的な数字をお示しすることができないわけでございますけれども、これからこのプラザに隣接する官舎八十戸ということでございます。その移転補償費と用地費が必要になってくるというものでございます。  以上でございます。 ○議長(長憲二君) 藤井厚生部長。  〔厚生部長(藤井充君)登壇〕 ◎厚生部長(藤井充君) 介護保険の保険料についてお答えを申し上げます。  六十五歳以上のいわゆる一号被保険者の保険料は、各市町村が自分のところで提供する介護サービス量に見合った額を設定することとなっておりまして、本県におきましても各市町村が独自に保険料を算定する予定となっております。このため、今月から来月にかけまして各市町村では高齢者実態調査を実施し、在宅サービス、施設サービスの需要見込みなどを把握することとしており、またそれぞれのサービスに対する介護報酬単価がまだ国の方から示されていないこともあり、現時点では保険料を算定することは困難となっております。  以上でございます。 ○議長(長憲二君) 山岸商工労働部長。  〔商工労働部長(山岸勇君)登壇〕 ◎商工労働部長(山岸勇君) 水害等の被災企業に対する融資制度等の支援策についてのお尋ねでございますが、一般的には風水害等による被災を受けた中小企業への支援策として、現行制度として連鎖倒産防止、災害対策融資という融資制度がございます。この制度は、風水害等により被害を受けた損害につきまして事業所の所在する市町村長から被災証明の交付を受けて金融機関に申し込むことになっているわけでございます。  その使途といたしましては、設備・運転、いずれも対象になっておりまして融資限度額は三千万円でございます。また、融資期間も事情に応じて五年から七年というふうに定められておるところでございます。融資利率は二・二%以内というふうになってございます。  いずれにいたしましても、被災を受けられた企業の方々は資金面としてはこの制度を活用いただくことになるだろうというふうに思っております。ただ、今後の個別の企業経営等に対しましても求めに応じて経営診断あるいは経営指導等につきまして商工会議所あるいは商工会とも連携し、きめ細かな支援もしてまいりたい、このように思っているところでございます。  以上でございます。
    ○議長(長憲二君) 濱名農林水産部長事務代理。  〔農林水産部長事務代理(濱名久司君)登壇〕 ◎農林水産部長事務代理(濱名久司君) 農林水産業関係の被害に対する支援策についてお答えをいたします。  今回の台風五号によります農林水産関係の被害につきましては、昨日現在でございますけれども、漁船の転覆あるいは漁網の破損を初め農道、水路等の破損あるいは農作物の被害が県下九市町村におきまして、合わせて二億一千七百四十万円発生をいたしております。  これらの被災者の支援策といたしましては、農作物被害につきましては農業共済制度あるいは経営安定のための低利の融資制度、さらには水産被害につきましては漁船の損害補てんのための補償制度、漁網の破損に対する低利の融資制度、こういったことを積極的に活用できるよう関係機関と連携を深めながら指導をしてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。 ○議長(長憲二君) 西教育長。  〔教育長(西貞夫君)登壇〕 ◎教育長(西貞夫君) 三点お答えを申し上げます。  まず、米国のチャータースクールということでどういうふうにとらえているかというお尋ねでございます。このチャータースクールというのは、アメリカでの教育改革の柱の一環としまして、児童生徒の特性や親の要望に応じた教育の実現を目指した形で設置された学校というふうに聞いております。その特徴といたしましては、教員や親あるいは地域住民がみずから設置者となるということ。それから、独自の理念、方針に基づき学校運営が自主的になされる。それから、児童生徒の学力改善に関して、まず契約を交わす。そして、その契約内容に照らしまして一定の評価をする。その評価をしまして、成果が上がっていなければ設置認可が取り消されると。まさしく多民族社会といいましょうか、契約社会といいましょうか、そういうアメリカ独自の制度だというふうに思われます。  また、このシステムの導入の背景には極度の学校の荒廃や、あるいは人種、所得による教育条件の大きな格差といった、いわゆる極めて好ましくない状況が背景にあったというふうに聞いております。直ちに日本に導入するには課題がなかなか多いなという感じを持っておりますが、部分的に採用できる要素があれば研究はしてみたいと、かように考えております。  次に、本県の教育改革について所見はいかんということでありますが、基本的には心の教育の充実あるいは地方教育行政の改善など、国の教育改革の中で進めるべきものというふうに考えております。  なお、本県独自の取り組みといたしましては、二十一世紀石川の学校教育推進会議におきまして高校の再編整備を初め学校、家庭、地域の役割分担のあり方あるいは特色ある高等学校づくり等々につきまして検討しておりますが、国や他県の動向をも見据えまして常に積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。  次に、兼六園の世界遺産登録ということでございますが、この世界遺産の登録は条約が基礎にあるわけですが、その条約の規定によりますと、まず国宝、重要文化財、特別名勝など国内法で保護措置が図られておるということが前提条件としてございます。そして、そのほかに作業指針というものがございますが、これ六項目になっております。  ちょっと長くなりますが具体的に申し上げますと、まず六項目の指針といいますのは独特の芸術的成果を示すもの、それから建築や都市計画、景観に大きな影響を及ぼしたもの、それから消滅した文明や文化的伝統の証拠を示すもの、ある様式の建築物、または景観が人類の歴史におけるすぐれた見本となるもの、それから単一、または複数の文化を代表する伝統的な集落、土地利用を示すもの、それから普遍的な価値を持つ出来事、生きた伝説、思想、信仰、芸術に関するもの、こうしたことのいずれかに該当するということが条件としてなっております。  そこで、具体的に文化庁にも問い合わせておりますが、徐々に登録件数が多くなっておるもんですから、最近は特に選定基準が厳しくなっておるという状況があるということ。それから、世界的に通用する価値が必要であるいうことで、日本における価値が必ずしも世界に共通するというふうには限りませんよということ。それから、日本の庭園としては先ほど知事答弁にもありましたが、古都京都の文化財という中に類似する遺産がもう既に入っておるということで、そういう場合にはなかなか登録はされにくいということでありまして、現段階において兼六園を世界遺産に登録するということは難しい面があるということでありますが、先ほどの知事答弁と重なりますけども、目標は高く持ちまして今後とも機会あるごとにその可能性は探ってまいりたい、かように考えております。  以上でございます。 ○議長(長憲二君) 永井警察本部長。  〔警察本部長(永井和夫君)登壇〕 ◎警察本部長(永井和夫君) 二点について御質問がありましたのでそれぞれお答えをいたします。  最初の有毒物質の鑑定器材の整備状況についてどうであろうかと、こういうことでございますが、本県の科学捜査研究所には現在社会問題となっております青酸化合物や農薬類について鑑定する器材は整備はされております。しかし、議員御指摘の砒素、アジ化ナトリウム、これについてはこれが砒素であるのかアジ化ナトリウムであるのかという初期的な予備段階の検査を行う器材は整備はされておりますけれども、それらの化学構造についての詳しい鑑定ができる機材は整備をされておりません。そういうことから、このような場合には予備検査を県内で実施をいたしまして、蛍光エックス線分析装置、それからエックス線解析装置、そういう装置を有するところの東京の警察庁の科学警察研究所に送付をするか、もしくは非常に緊急を要する場合には愛知県の警察本部の科学捜査研究所へ直接持参をいたしまして、早期に鑑定の万全を期すると、こういうことで考えております。  二点目のハイテク犯罪の防止ということでございますが、御指摘のとおりハイテク犯罪というのは犯行現場と被害現場が地理的に非常に離れておるという特徴がございます。それから、被害が同時に、かつ複数箇所で発生をするということで、地球的規模でそういうようなものが敢行されるという他の一般犯罪とは大きく異なった特性を有しております。  そういうことから、一都道府県警察で処理できないさまざまな側面を持っておるということであります。そうした情勢に的確に対処をするために、既に警察庁においては平成八年にネットワークセキュリティ対策室というものを設置をいたしまして諸対策を強力に推進してきたところでありますが、さらに平成十年度、そして来年の平成十一年度にはサイバーポリスの創設、それから不正アクセス対策法の整備というふうな法律の整備などに取り組むと同時に、ことしの平成十年版の警察白書にはハイテク犯罪対策と警察の取り組みを掲げた特集を組んでいるところでございます。  ところで、現在の石川県内においてどうかということでございますが、この種の本格的なハイテク犯罪の発生は現在のところ把握をしておりませんけれども、今後県内においてもこの種事案の発生が十分危惧されるところでありまして、そういうことから既に昨年十二月、石川県警察ネットワークセキュリティ対策委員会というものを発足をさせまして、この中に専門的知識、技術を有する職員で構成をいたしますコンピュータ犯罪捜査支援プロジェクトチームというものを設置をいたしまして捜査活動の支援に努めているところでございます。  また、専門的知識、技能を備えた捜査員を養成をするために、警察庁が主催をいたします研修に積極的に捜査員を派遣をしておりますし、今後この種犯罪の発生傾向や警察庁での取り組み、そういったものを見据えながら当県警察がハイテク犯罪対策におくれをとらないように真剣にこの対策には取り組んでいきたいと、かように考えておるところであります。 ○議長(長憲二君) 川上賢二君。  〔川上賢二君登壇〕 ◆(川上賢二君) 日本共産党を代表して知事並びに関係者に質問いたします。  七月の参議院選挙では、政治が庶民の暮らしの味方になるのか、それとも大銀行の応援団なのかという根本問題が問われました。国民は自民党の大敗北、日本共産党の大躍進という審判を下したのであります。日本共産党の不破委員長が発表した暫定政権論がマスコミでも大きな話題になっています。これは次の総選挙で自民党が過半数を失う可能性が非常に大きくなり、現実に可能性のある選択肢の一つとして日本共産党を含めた連合政権というものが考えられるようになってきたことの反映であります。そこまで政治の流れは大きく変わっているのです。  そこで、さきの参議院選挙の結果をどのように受けとめているのか、まず知事の考えをお聞きをしたいと思います。  質問の第二点は、不況対策の問題であります。  不況はますます深刻化しています。小渕内閣は、長銀への税金投入に固執する一方で、実体経済を立て直す政策は何も持っていません。小渕内閣に対して長銀への税金投入はやめ、消費税減税を実施するよう求めるべきであると思いますが、知事の考えをお聞きするものであります。  今回の補正予算は、全体として公共事業の積み増しによって景気回復を図るという従来型の発想から抜け出していません。また、景気回復のためには経済、産業のいわゆる構造改革、規制緩和が必要だという考えに立っています。私は、逆に政府、財界が進めている構造改革、規制緩和政策を是正してこそ不況を克服し、地域経済を再生できると考えます。  そこで、幾つかの提案も行いながら知事及び関係部長の見解をお聞きするものであります。  まず、中小企業に対する融資の問題であります。今回の補正予算で、信用保証協会に対する出捐金が増額されたことを歓迎すると同時に、いろいろな事情から信用保証協会の保証を受けられない業者の対策を考えるべきであります。例えば東京都江戸川区では、信用保証協会の保証が得られず、銀行が融資をしない中小企業に区が直接貸し付ける無担保、無保証人融資を九月七日から発足させています。限度額五百万円で、年利一・五%、融資の条件は中小企業診断士の診断の結果を踏まえて区が決定し、区が直接貸し出すということであります。不況の現在、そこまで踏み込むことが必要ではないのか。知事並びに商工労働部長の考えをお聞きをいたします。  第二点は、中小建設業の仕事の確保の問題です。「公共事業の予算はふえているというのに、わしらのところまで回ってこない。どこへ行ってるんだ」、こんな声いっぱい聞きます。そこで調べてみました。  建設省の公共事業着工統計年度表で石川県内で行われた国、県、市町村すべての公共事業を見ると、年ごとに公共事業が大型化しています。百万円以上一千万円未満の仕事は一九九〇年度には合計四千四十五件、全体の五七・八一%でありましたが、一九九六年度には件数で千六百七十件と半数以下に減り、割合では三七・〇七%に下がっています。その一方で、一億円以上の仕事は一九九〇年度の百七十九件、二・五六%から一九九六年度二百六十九件、五・九七%にふえています。県内で発注される公共事業が大型化し、件数も減っているのです。  この結果、ゼネコンや大手による公共事業の受注割合が大きくなっています。国全体では、資本金一億円以上の企業が受注する割合は一九九〇年度で四三・九%でしたが、九六年度には五二・二七%にふえています。資本金一千万円未満の企業の公共事業の受注は八・〇六%から〇・八七%に激減しています。  石川県では、一九九五年度の統計ですが、資本金一億円以上の企業十七社が公共事業の二八%を受注し、その一方で資本金一千万円未満の中小建設業は六百八十社ですが、受注している公共事業はわずかに三%にすぎません。さらに、公共事業の発注、入札の仕組みなどが競争力の弱い中小企業に厳しいものに変わっています。ゼネコンや大手を基準にした価格設定であるため、中小建設業者ではとても手が出ないという話を各地で聞きます。この背景には、建設省や大手ゼネコンが大手ゼネコンを中心とした建設市場づくりの方向を打ち出していることがあります。これが中小建設業者から仕事を取り上げている元凶です。  私は、ゼネコン、大手中心でなく地域に密着した中小建設業者が地域に密着した仕事で地域に貢献する、このような方向に転換しなければならないと思います。そのためには、これまでの公共事業のあり方、建設行政のあり方を転換すべきです。  第一に、ダムや高規格道路など大型プロジェクト偏重でなく地域住民の生活の向上、安全の確保、福祉の増進などに役立つ仕事を重視すべきです。そうすれば各地域に小規模なのを含めて多様な公共事業を生み出すことができます。  第二に、大企業本位の入札・契約制度を中小建設業者が参加しやすいものに改めることです。例えば五千万円以下の公共事業は地元の中小建設業に分割発注を促進して中小建設業に発注するようにしてはどうでしょうか。公営住宅などの官公需は分離分割発注を促進して中小業者に直接仕事がいくようにすべきであります。  第三に、既存の住宅のバリアフリー化、地震、火災に対する安全対策の強化など住宅の改造に国、自治体が積極的に援助を行い、中小建設業者の仕事をつくっていくことです。  以上の点について知事並びに土木部長の考えをお聞きしたいと思います。  第三点は、既存の小売業、商店街を守る問題です。地域の商店街と大型店では地域の経済的波及効果はどちらの方が大きいか。これについて次のような試算があります。年初に百万円の買い物があった場合、地域の商店街では売り上げがすぐに生活費や小口の仕入れに使われるので、同じお金が月に平均四回転します。それを一年間で計算し、半分が地域外に支払われたとすると、年間二千四百万円の経済的波及効果があります。同じ金額でも大型店では売り上げの大半は地域外の本部に集められて、全国、海外からの一括仕入れに使われます。税金やパート従業員の賃金として地元に落ちる分がありますが、それは全体から見れば少ない割合です。地域商店街の方が地域経済に対して大きく貢献しているのです。  県の統計課が作成した一九九七年の商業統計に年間商品販売額の仕入れ先別の構成比というデータがあります。一九九七年、石川県内の小売業五千九百七十一店の年間の商品販売高は約一兆二千三百十三億円ですが、そのうち六九・四%を県内から仕入れています。このうち、百貨店として上げられているのが二十一店あります。各種商品を扱っている大型店のことです。二十一の店で年間の売り上げは一千五百七十三億円、小売業全体の一二・八%を占めています。百貨店の石川県内での仕入れは三五・七%、小売業全体の半分の水準です。  これによって一般の小売業の方が県内で仕入れをする割合が圧倒的に高いこと、県内の卸売業あるいは製造業に経済的波及効果を及ぼしていることは明らかです。一方、百貨店、大型店は売上代金の相当部分が県外へ流出していることになります。大型店の占める割合が大きくなればなるほど、売上代金が県外へ流出する割合も大きくなります。大型店の売り上げがふえても地域経済は疲弊してしまうのです。地域経済を発展させる点からも大型店の立地は規制し、地元の小売店、商店街を守っていくことが大切ではないでしょうか。  東京都杉並区はことし八月から、大規模小売店舗の出店に関する要綱を作成し、出店者に駐車場、駐輪場の整備計画と交通対策、ごみの処理、リサイクル計画、大気汚染など五種二十二項目にわたる出店計画届け出書を区長に提出することを求めています。現行の大店法は廃止をせず、逆に改正強化することを政府に対して求めるとともに、知事の権限でできる規制を大型店の出店に対して行うべきではないのか。知事並びに商工労働部長の考えをお聞きをいたします。  質問の第三点は、松任市農協の信用事業についてであります。  県農水部は、昨年七月二十八日から八月六日にかけて松任市農協に対する常例検査を行いましたが、その概略を同年十一月十三日に開かれた松任市農協理事会で報告しています。次のような内容であります。  「平成八年度以降の余裕金の運用状況を見ると、法令、定款及び余裕金運用規定に定める基本方針から逸脱した投機的運用が行われている実態にあり、財政の健全化について重大な影響が懸念されました」。さらに、「証券投資信託運用残高の限度額は、貯金、定期預金の合計額の百分の十五に相当する金額である。その金額に対して百分の二十四と大幅に超過している実態にありました。本年度に入り、投機的運用からの脱却を図っているものの、昨今の金融環境では短期間のロスカットは困難な状況にあると思われます」。  また、昨年八月二十二日に開かれた第九回理事会で、代表監事は次のように報告しています。「組合経営収支に影響を及ぼす課題を包蔵、未現実損失の包蔵、これをしており、これの解消については超低金利金融市場が続く現状では回復に期待できないことを十分に認識することが重要と判断する」。  以上の報告から二つの問題点が明らかです。第一に、松任市農協が基準を大きく超えて投資信託を行っていることです。昨年十二月三十一日現在の決算では、受益証券と社債の合計額は百五十三億四千五百三十八万九千円です。これは基準額、つまり松任市農協の貯金及び定期積み金の合計額の一五%である百二億六千七百二十万九千円を約五十億円、七・四%も超過しています。  第二に、投機的な運用が行われ、膨大な含み損を抱えていることです。昨年十二月三十一日の決算では、受益証券は約百五十二億円、そのうち債券投資信託は約百二十五億円であります。  私に寄せられた情報では、松任市農協が保有している債券の簿価は平均して九千四百円台でありますが、最近では簿価の四〇%以下にまで下落し、含み損は約七十五億円に達しているということであります。主力商品であるK証券の債券について日経新聞で調べてみましたが、一九九六年六月六日には九千五百六十六円であったものが、九月十八日には三千百七十八円になっています。三三・二%であります。  証券投資のハイリスク、ハイリターンの場合は、RR1からRR5までの五段階に分けられていますが、松任市農協が投資していたブル・ベア型は、最も投機性の高いRR5にランクされています。証券投資についての本では、丁半ばくちのように上がるか下がるかにかけるハイリスク・ハイリターン型だと書かれていました。  このような投機的な資金運用は組合の規定にも反するものです。松任市農協の余裕金運用規定には、「有価証券への運用は安定的収益の確保など長期的視点による安全・確実な運用を基本とする。有価証券の短期間の回転売買等、投機的な運用は行わない」と明記されています。  松任市農協が債券投資信託を大量に買い込んでいた一九九六年春から夏の時期は、住専問題で日本じゅうが沸騰していた時期です。農協系資金も住専に大量に流れていたことが大きな政治問題になっていました。そういうときに組合員の大切な預金を危険な投機につぎ込んでいたとは許しがたいことであります。その責任は重大だと言わなければなりません。  日本経済が低迷している現在、時がたてばたつほど含み損は大きくなり、組合員にさらに大きな損害をもたらすだけです。これ以上放置しておくことはできないと思います。  そこで、知事に質問します。松任市農協は組合員に対して事実を明らかにすべきではないでしょうか。また、組合長を初め幹部は、損害賠償を含めて責任をとるべきではありませんか。この二点について知事の考えをお聞きをしたいと思います。  さらに、この問題での県の責任は重大です。県には監督権限があります。常例検査によって問題点をいち早くキャッチすることもできます。また、業務停止の命令を発する権限も持っています。松任市農協の証券投資は一九九四年度までは三%未満で推移していましたが、九五年度から急激にふえています。その途中でどうして是正を指導しなかったのか、できなかったのか。傷口を大きくしていった点で県の指導監督責任は極めて重大であると考えますが、知事の考えを明らかに願いたいと思います。  質問の第四点は、医療費の問題であります。  昨年九月からの医療費の値上げは、患者である国民にも医療機関にも深刻な影響を与えました。国民健康保険と政府管掌健康保険の資料から一九九七年九月からことし六月までの十カ月間のデータを前年の同じ期間のデータと比較してみました。国保と健保の合計で見ますと、対象人数約八十万人について受診日数が一人平均三・〇〇%減っています。国保では老人の受診日数が平均四・四〇%減っています。政府管掌健康保険では健保本人の受診日数が八・〇四%も減っています。この数字は治療の中断など、患者、医療機関から寄せられる切実な声を裏づけています。医療費の改悪は国民の生命、健康を脅かしているのです。  医療費値上げは、県内の医療機関の収支にも大きな影響を与えています。県民一人当たりの一カ月の受診抑制は三・〇〇%、〇・〇六三八日です。医療機関の収入を少なく見積もって、一人一日平均一万円とすると一カ月の減収は約七億五千万円、年間にすれば約九十二億円になります。この計算には組合健保、公務員共済を含めていませんから、これを含めればこの金額はさらに大きくなるものと思われます。結局、昨年九月の医療費値上げにより、県内の医療機関はこの一年間に百億円を超える減収をこうむったのではないでしょうか。  地元紙に、「国の政策で小さな病院は隅に追いやられる運命にある。生き残りを図るため診療所に切りかえた」という病院長の言葉が載っていました。そして、県内の中小規模の民間病院では病院経営に見切りをつけ、診療所に衣がえするケースがふえていると指摘しています。  ことし七月三十日、日本医師会、歯科医師会、薬剤師会の三会長は連名で、患者の薬剤にかかわる二重負担の即時廃止と健保本人二割負担を即時廃止し、一割負担に戻すことを求める要望書を政府に提出しています。県民の健康を守り、県内の医療機関を守るためにも昨年九月の医療費値上げをもとに戻すよう政府に求めるべきではないか。知事の考えをお聞きをいたします。  政府はまた十月から診療報酬を改定することにしていますが、その中には一般病棟に六カ月以上入院する七十歳以上のお年寄りの看護料が大幅に減額され、医療措置が必要なお年寄りが病院から追い出され、行き場を失いかねないという重大な改悪があります。このような改悪をやめるよう政府に求めるべきではないか。あわせて、知事の考えをお聞きをいたします。  質問の第五点は、ごみ行政、RDF構想についてであります。  私は、県が進めているRDF構想には次のような問題があると考えます。第一に、ごみの発生そのものを減らすという観点ではなく、相変わらず施設で処理するという施設主義の考えが中心になっていることです。ダイオキシンに対応するという理由で、ごみ処理施設がますます大型化し、ハイテク化し、ごみ処理に多額の経費をつぎ込む結果になってしまいます。  第二に、RDF構想はダイオキシン発生を抑えるには日量百トン以上の大型炉でないとだめだということが出発点にありますが、これには疑問があります。百トン以下の小規模の焼却炉でも技術的な改善をすればダイオキシン発生を抑えることができるのでありませんか。  第三に、一般廃棄物の地域内処理という原則から見て疑問があります。ごみ処理の広域化はごみ問題を住民の目から遠ざけ、解決をおくらせてしまうことはこれまでの例でも明白であります。  第四に、固形化されたごみ、助燃材の燃焼が有害物質を発生させないのかという問題。特に焼却灰、飛灰の処理の問題など技術的に信頼できるのか。その実証データはあるのかという疑問であります。  第五に、住民合意のない施設設置は認められないということです。志賀町の中核工業団地で住民の頭越しに立地を進めようとしたのは論外です。  私は以上の点から、県のRDF構想についてはごみ問題の根本、ごみ行政の根本に立ち戻って再検討すべきであるものと考えます。知事並びに環境安全部長の考えをお聞きをいたします。  以上をもって私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(長憲二君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) 川上議員の一般質問にお答えをいたします。  まず第一点は、七月の参議院選挙の結果と、こういうことでございますけれども、今回の参議院選挙の争点は端的に申し上げまして長引く不況の中で金融機関の不良債権の処理問題を含めました経済対策、経済再生、これが最大の争点ということでありました。大変特筆すべきことは、国民、とりわけ無党派層と言われた方々の関心が大変高まったということで、投票率が一〇%以上上昇したと、これが大変特徴的なことであったのではないか、こういうふうにも思うわけでありまして、現在国会でも経済再生に向けて真剣な議論が行われておると、こういうことであろうと思うわけであります。  川上議員御所属の共産党も安保条約についてはもし政権を担った場合には凍結というふうな大胆な方針もお出しになったということでありますから、やはり現実を見据えてどうやっていけばいいのかということについてお互いすれ違いの議論ではなくして真剣な議論が国会で行われるようになったと。これは大変大きく意味のあることではないかと、このようにも思うわけであります。  次に、不況対策についての御質問がありました。長銀問題でありますが、我々も長銀問題、金融機関の不良債権処理につきましては金融システムの安定化あるいは預金者の保護あるいは善良な借り手の保護、こういった中でどのような処理が最もふさわしいのか。今まさに国会で真剣な議論が行われているわけでございます。その辺の国会の行方を我々十分関心を持って見きわめてまいる必要があろう、このように思っているところであります。  次に、消費税の御質問がございました。消費税そのものは我が国の税制が余りにも所得・資産に偏り過ぎていた。消費についてもバランスをとっていかなければいけない。そうしたバランスのとれた税体系を構築しなければいけないということで創設をされたわけでございますから、それは大変意味があることだと思いますし、地方消費税も地方分権の推進、そういったもので地方が自主的な財源を確保しなければいけない、こういったことで創設をされたということでございますから、大変私どもはそういう意味では意味のある税制改革であったと、このようにも思っているわけでございます。  ただ、個人消費の落ち込みという話はただいまも御質問があったわけでございますけれども、どのような対策が効果的なのか。個人所得減税あるいは住宅取得等に直結をした政策減税、こういったことも今あわせて議論が行われております。これもその辺の議論の行く末を見守ってまいる必要があろう、かように考えているわけであります。  次に、公共事業の大型化についての質問がございました。経済対策で私ども行政がやる場合には需要の創出というのは、いわゆる公共事業がその中心的な役割を果たしていかなければいけないわけでございますが、その中には道路網の整備など、いわゆる交通基盤の整備ということもございます。今回、石川県の公共事業予算が大きく伸びましたのは金沢外環状道路の事業が本格化してきたということがございますし、都市緑化フェアを目指しての金沢城址の整備が本格化してきた。そして、能登空港の本体工事が始まった。こういった要素もあるわけでございまして、それぞれいわば県民のニーズにこたえる事業、このようにも私ども理解をしておるわけでありまして、そしてさらに今回は経済対策の一環で福祉施設の整備の前倒し手当てが行われたということでありますから、これらは積極的に活用して福祉施設の整備を我々も前倒しでやっていく必要があるのではないかというふうに思っておりますし、また小口融資の限度額につきましてもその緩和というんでしょうか、限度額の拡大が図られたと。そして、特別小口融資につきましても、これは法律改正を待たなければいけませんが、法律改正が行われればこれも拡大がされるということですから、やっぱり融資につきましてもよりきめ細かな対策が講じられると、このようになるんではないかというふうに考えておるところであります。  次に、大型店対策ということでございますが、これは大変難しい問題でありまして、基本的には日米構造協議の過程の中で規制緩和を進める。そして、消費者のニーズに応じた小売対策というんでしょうか、そういった方向が示され、従来のいわゆる大店法が廃止をする。消費者のニーズがありとすれば、大規模店舗を規制緩和の中で立地は認めていかざるを得ないというような方向が出ておるわけでございますが、ただ大規模店舗が立地をすることによって地域のまちづくりに大きな影響を与えると。交通渋滞あるいは環境悪化等、そういった問題については行政として当然チェックをしていく必要がある、こういうことでございますが、そういう大きな流れの中にあるということでございますので、これは大変難しい問題であります。  ただ、私どももそうはいっても、いわゆる既存の商店街の活性化に手をこまねいているということではもちろんないわけでございます。もちろん商店街の自助努力ということは当然のことでございますけれども、こういった商店街の活性化、ようやく総合的なメニューがそろってきたということでありますから、それを総合的に活用するということはある意味では大変大事なことだというふうに思います。タウンマネージメントもそうでありましょうし、我々が従来からやっておりますモデル商店街の活性化事業あるいは町並み再生事業というんでしょうか、歩行者空間をもっと広くする、そういった基盤整備、こういったこともあわせて進めていく必要があるんではないか、このように思っているわけであります。  次に、松任市農協についての御質問がございましたが、これにつきましては詳細は担当部長の方から答弁をさせますけれども、指導監督等は担当部局の方で行っておるわけでございますが、個別農協の経営状況、検査等で知り得た事項につきましては、地方公務員法あるいは国の協同組合検査規定というのがあるわけでありますが、秘密保持の義務が課されておるということでございますので、その詳細はお答えを差し控えなければいけない、こういうことで御理解をいただきたいというふうに思うわけであります。当然、組合長を初め役員の皆さん方、自主的な判断で経営内容の開示というのは行われるべきものであろうと、このように思っているところでございます。  次に、医療費の値上げについての御質問がございました。いずれにしましても、医療保険制度というものを少子・高齢化社会の中で安定的に運営をしていくためのいろんな手だてが講じられておる。その中での医療保険制度の改正というふうに私ども受けとめておるわけでございます。  いずれにしましても、国においても医療保険制度の抜本的な見直しが進められておるということでございます。その中で、私どもしっかりと念頭に置いておかなければいけないのは国民皆保険制度、これはこれからも維持をしていかなければいけないなと、そのように理解をしておるところでございます。  次に、RDFについての御質問がございました。RDFに係るごみ処理方式、ごみを発生抑制、再利用、再資源化という観点が全く欠落しておるんではないかというお話がございますが、もちろんごみ問題につきましてはごみの発生抑制、そしてごみとして出たものをそのまま再利用する、再資源化する、こういった取り組みもごみの焼却処理とあわせて並行して取り組みを進めていかなければいけないということでございますが、ただこれについては住民の皆さん方のライフスタイルを大きく変えていかなければいけない。これは単に規則をつくって、それを強制的に守らせるとかという、そういうことでなかなかこのスタイルが変わっていくものではないわけでありまして、やっぱり県民の皆さん方の御理解を得るための努力、そして県民の皆さん方のお一人お一人の意識の改革ということも必要でございますし、そういう意味ではある意味では息の長い取り組みということにもなるわけでありまして、これはこれとしてしっかり我々もやっていかなければいけない、このようにも思っておるところでございます。  そして、何よりもダイオキシンという問題がなければ、議員御指摘のように一般廃棄物の処理はこれは市町村の事務でありますから、県が余計な関与をする必要は全くないわけでありまして、それぞれ地域内処理という形でおやりになればいいわけでありますけれども、現在特に能登半島の各市町村のごみ処理の状況ではダイオキシン対策というものに万全をどうも期し得ないんではないか。珠洲市もそうでありますし、七尾鹿島でも基準を大幅に上回るダイオキシンが発生をしたということであります。当面の技術改善あるいはフィルターをつけるとか、電気集じん機をつけるとか、そういう方法によって空気中にダイオキシンが拡散をするということを防止する手だてもございますけれども、それとてフィルターとか電気集じん機にダイオキシンがますます濃縮をされていくという、こういうことになるわけであります。  現在の技術では厚生省もガイドラインをお示しでありますけれども、やはりこれは一定量以上のごみというものを安定的に二十四時間連続運転、そして八百五十度C以上の高温で燃やし続けるという方策をとれば、ダイオキシンが分解をされてなくなる。そして、その後の焼却灰についても具体的に溶融化という手だてを講ずれば、後に残るのはガラス状の砂と。このガラス状の砂になったものは、これから路盤材等に活用できるという、さらに再資源化できるというメリットも出てくるわけであります。そのためには、やはり広域化というものは避けて通れないんではないのかな。それと同時に、珠洲あるいは七尾鹿島、羽咋郡市、加えて河北郡にいたしましても、それぞれ一般廃棄物のごみ処理施設がちょうど今更新の時期を迎えているという、そういうタイミングの問題もあるわけでございます。そういうタイミングを逸してはいけないなと、このようにも思っているわけでありまして、ただ議員御指摘のように志賀町で当初不適切な対応があったということは、これは率直におわびを申し上げなければいけない、このように思っておるわけでありまして、これから順序を踏んで御説明をし、御理解を得る努力もあわせてしていかなければいけない。  そして、広域化ということになりますれば、ごみをごみとしてこの専焼炉に持ち込むということになりますと悪臭、汚水という問題が発生をしてくるわけであります。よって、これはRDFという燃料に切りかえて専焼炉立地場所まで搬送するということで悪臭、汚水等の問題も克服することができると、こういうことであろうと思います。  いずれにしましても、将来はガス溶融化とかいろんな技術開発が行われてくると思いますけれども、これはまだ研究開発の域を出ない。現時点でダイオキシン問題は待ったなしの状況ではないかと、このようにも思うわけでありまして、現在の技術でダイオキシン発生をゼロにするという方途が講じられるとすれば、これは積極的にやはり対応していく必要があるのではないのかなと。能登の市町村の皆さん方も同じ思いでございます。 ○議長(長憲二君) 山岸商工労働部長。  〔商工労働部長(山岸勇君)登壇〕 ◎商工労働部長(山岸勇君) 中小企業者への融資あるいは保証についてのお尋ねでございますけれども、制度融資につきましてもその融資案件の中で保証協会の保証付きが任意となっている制度融資につきましては、金融機関の判断としてその要否が決められているという、議員も御案内のとおりだというふうに思います。  保証協会では厳しい環境下にある中小企業のために保証人要件の緩和あるいはまた担保評価の緩和を図るなど、保証の弾力的運用に努めているというふうに聞いておるところでございます。一方、県といたしましても九月補正予算におきまして緊急経営支援融資の新規融資枠を三百億から三百六十億円に増額をいたしましたし、無担保、無保証人制度である特別小口融資につきましても十分な枠を確保いたしておりますので、現行制度の中で中小企業の要望には十分対応できるものというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
    ○議長(長憲二君) 農林水産部長事務代理、濱名次長。  〔農林水産部長事務代理(濱名久司君)登壇〕 ◎農林水産部長事務代理(濱名久司君) 農協関係について二点お答えをいたします。  基本的な考え方は、先ほど知事から御答弁を申し上げたとおりでございますけれども、多少長くなるかもわかりませんけれども、補足を申し上げます。  まず、農協の信用事業に関連したお尋ねがございました。県では、農業協同組合法に基づきまして、農協に対し報告聴取や検査等、こういった指導監督を行っております。個別農協の経営状況であるとか、検査等で知り得た事項につきましては、地方公務員法第三十四条第一項、さらには国の協同組合検査規定に基づきまして秘密保持の義務が課せられております。したがいまして、お答えを差し控えさせていただくことを御理解をお願いをしたいと思います。  なお、各農協に対しましては、各種制度改正あるいは検査結果に応じましたケース・バイ・ケースの適切な指導に努めているところでございます。  組合員に対する経営内容の開示でございますけれども、事業報告書であるとか、あるいは貸借対照表なり、組合員への閲覧等が法律で義務づけられていることを除きまして、農協の自主的な判断でございます。  次に、県による農協の指導監督についてでございます。御案内のとおり、農協は農業者の自主的な組織でございます。そして、その運営はみずからの意思に基づいてなされるものでございますけれども、一方では公共的な性格を有することから、農業協同組合法に基づきまして行政庁に監督権限が付与をされてございます。  県では、この監督権限に基づきまして検査等を実施しておりますけれども、その結果に応じ、農協に対し、法令、定款等の遵守あるいは適正な事業が行われるよう常日ごろから指導監督を行っておるところでございます。  なお、いわゆる金融ビッグバンでございますけれども、そういうものが進展する中で、従来から農協の資金運用力の充実あるいはリスク管理の徹底、こういったことを求めてございます。  今後とも、いずれの農協に対しましても必要な指導を適正に行ってまいりたい。  以上のとおりでございます。 ○議長(長憲二君) 中島土木部長。  〔土木部長(中島浩君)登壇〕 ◎土木部長(中島浩君) 中小建設業者対策につきましての二つの問いにお答えいたします。  県内の建設業許可業者数六千七百九十社のうち二千五百三社が県の競争入札参加資格者として登録されております。そのうち資本金一億円以上の大企業は三十七社でございまして、一億円未満の中小企業が二千四百六十六社となっております。  県の公共事業の発注に当たりましては、これらの業者を経営規模や技術力によりましてAからDのランクの四段階に区分いたしまして、それぞれのランクに対する発注基準により指名しております。  平成九年度の実績を見ますと、県の総発注件数六千二百七十五件のうち九二%に当たる五千七百七十五件につきまして、これは五千万円未満の工事が九二%に当たります五千七百七十五件となっておりまして、一部Aランク業者も受注しておりますが、ほとんどがBランク以下の県内中堅小規模業者となっております。  また、建築工事に当たりましては建築、電気、設備などの業種ごとに適切な履行を確保するためにも、できるだけ専門業者に分離分割発注をしてございます。さらに大規模な工事や特別の技術を要する工事につきましても、技術向上を図る観点から県外業者と地元中小業者による特別共同企業体を指名する等の措置を講じているところでございます。今後とも地元建設業者の受注機会の確保には配慮してまいります。  また、御質問の既存の住宅のバリアフリー化、耐震耐火対策などの推進につきましては、これは低迷しております住宅建築工事の活性化にも寄与するものと考えております。バリアフリー化改造に対しましては、技術支援型住宅リフォーム資金助成制度、バリアフリー住宅リフォーム資金融資制度による補助や融資がございますし、耐震につきましては耐震リフォームモデル事業による耐震診断及び補助がございます。これらの施策の普及に現在努めているところでございます。  今後ともこのような制度の活用を進めるとともに、既設の県営住宅におきましても高齢者対応の改善工事を進めることによりまして中小建設業者の仕事の創出を図ってまいる所存でございます。  〔川上賢二君発言を求む〕 ○議長(長憲二君) 川上賢二君。 ◆(川上賢二君) 再質問いたします。松任市農協の問題です。  まず一つは、私は中心的に知事にお聞きしたんですが、知事の答弁の仕方ですね。率直に言って、かなめの点は避けて農水部長事務取扱に譲られたこと、遺憾に思います。  いろいろ調べてみますと、今、全国各地で現実に農協の経営が破綻して、例えば、これはことし四月の新聞ですが、九の道県がそういうところに三百四億円、公的資金を出しておる、そんなふうに各県で大きな政治問題になっているようです。ですから、恐らくこれは事務取扱の方は言われませんでしたけれども、これから石川県政にとって大きな問題になっていくんではないでしょうか。そういう中で公的資金導入ということは、いろいろ議論されていくじゃないでしょうか。そういう最初の答弁にしては余りにもそっけなかったなと。知事が本当に問題を重大に認識されるか、そこのところ疑問を感じました。この点をはっきりと言っておきたいなというふうに思います。  二つ目は、守秘義務云々ということがありましたけれども、それはそうでしょう。ですけれども、ずっとこの経過を見ていますと、ずるずる放置していた。このことがますます傷口を大きくしたんじゃないでしょうか。  例えば、昨年十二月末のいわゆる含み損は、私の資料では六十四億円です。九月初めに、さっき言ったように七十五億円。もう雪だるまのように膨れ上がっています。これますます大きくなっていくでしょう。  そういう点では、さっき部長事務取扱は自主性に任せると言われていましたけれども、ほっときゃますます傷口を大きくしていって、このことが松任市農協の組員員の方だけじゃなくて市民の皆さん、そしてまた県民に大きな負担というんですか、そういうものになってくるのでは。そういう点では、県のいわゆる法的に許される権限、それをフルに活用してでも傷口を未然にふさぐ、そういう方策をとるべきでないか。このことを求めたわけです。その点についてどうか、これは答弁お願いしたいと思います。  そして三つ目、いろいろ守秘義務ということでありますから、この議場では言えないこともあるでしょう。それじゃ一つだけお伺いしますけれども、改善の方向に向かっているのかどうか。まさか破綻するとか、そういうことはないのか。その点についてはきちんとお答え願いたいと思います。  以上三つです。 ○議長(長憲二君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) もちろん松任市農協の経営は組合長さん以下、役員の皆さん方が責任を持っておやりになっておられるわけでありますから、一般論としてもし万が一のことがあれば、それなりの責任はきちっとおとりになるんだろうと思いますし、そこで今問題になるのは、やっぱり善良な預金者をどのようにして保護するのかということが一般論としては大きな問題。これは今の長銀でも同じ問題があるようでございますけれども、貯金預金保険機構というんですか、預金者を保護するためのそういった機構も国の方では設置をされておるということでありますし、一般金融機関の場合は預金保険機構と、こういうものであろうと思いますし、その辺のところできちっとした、仮にそういうことがあるとすれば、一番守らなければいけないのは善良な預金者の保護ということになるんだろうと思います。そういう手当ては、仕組みとしてはそういう仕組みがあるということではないかと、このように私は理解をしておるわけであります。  もう一点は担当部長の方からお答えをさせます。 ○議長(長憲二君) 濱名次長。  〔農林水産部長事務代理(濱名久司君)登壇〕 ◎農林水産部長事務代理(濱名久司君) あと二点のお尋ねでございました。  先ほども申し上げましたように、どのような指導をしたかという話でございますけれども、先ほど申し上げました検査上知り得た事項、不可分な関係にございます。したがいまして、答弁を差し控えさせていただきたい。  以上でございます。  〔川上賢二君発言を求む〕 ○議長(長憲二君) 川上賢二君。 ◆(川上賢二君) 最後にお伺いします。  それでは、県の農水部の指導の結果、ちゃんと破綻が改善されると確証をお持ちですか。この点をきちんと答えてください。 ○議長(長憲二君) 濱名次長。  〔農林水産部長事務代理(濱名久司君)登壇〕 ◎農林水産部長事務代理(濱名久司君) お答えをいたします。  確証があるかという大変難しいお尋ねでございます。ここでは四十七人の議員の方に私は今ここで申し上げる答弁の資料を用意してございませんので、御理解を願いたいと思います。        ─────・──・────── △休憩 ○議長(長憲二君) 暫時休憩します。   午後零時二十三分休憩        ─────・──・──────  午後一時二十八分再開           出席議員(四十三名)             一  番   下   沢   佳   充             二  番   藤   井   義   弘             三  番   杉   本   栄   蔵             四  番   木   本   利   夫             五  番   紐   野   義   昭             六  番   山   田   憲   昭             七  番   山   田   省   悟             八  番   北   村   繁   盛             九  番   朝   倉       忍             十  番   石   坂   修   一             十一 番   北   野       進             十二 番   小   倉   宏   眷             十三 番   米   田   義   三             十四 番   石   田   忠   夫             十五 番   吉   田   歳   嗣             十六 番   向   出       勉             十七 番   石   林   爾   郎             十八 番   菊   知   龍   雄             十九 番   和 田 内   幸   三             二十 番   吉   崎   吉   規             二十一番   稲   本   孝   志             二十二番   山   根   靖   則             二十三番   八 十 出   泰   成             二十四番   善   田   晋   作             二十五番   上   田   幸   雄             二十六番   稲   村   建   男             二十八番   角       光   雄             二十九番   長   井   賢   誓             三十一番   矢   田   富   郎             三十二番   宇   野   邦   夫             三十三番   宮   下   登 詩 子             三十四番   庄   源       一             三十五番   川   上   賢   二             三十六番   北   村   茂   男             三十七番   大   幸       甚             三十八番   福   村       章             三十九番   中   川   石   雄             四十 番   宮   下   正   一             四十一番   米   沢   外   秋             四十三番   河   口   健   吾             四十五番   米   沢   利   久             四十六番   金   原       博             四十七番   池   田       健           欠席議員(三名)             二十七番   長       憲   二
                四十二番   櫻   井   廣   明             四十四番   宮   地   義   雄        ─────────────── △再開、質疑・質問(続) ○副議長(向出勉君) 会議を再開し、休憩前の議事を続けます。矢田富郎君。  〔矢田富郎君登壇、拍手〕 ◆(矢田富郎君) 質問の機会をいただきましたので、本日は長い間続きます不況の中、幾つかの分野につきましてその対策などを知事、商工労働部長、そして住宅供給公社理事長にお伺いいたします。  不況が長引きながらもいつかは底離れするだろうと言われましたが、いつの間にか底割れという言葉が使われたり、底ばいという言葉が使われるようになりました。金融破綻や中小零細企業のみならず、大企業にまで倒産の波が押し寄せてきております。ことし五月に国は十六兆円の総合経済対策を打ち出し、二兆円の特別減税、一般公共事業や施設費などで六兆円、その他土地対策や中小企業対策、雇用対策などが盛り込まれました。  県も国の経済対策にこたえて、六月議会におきまして五百七十億円とこれまでにない大型の経済対策を打ち出し、緊急に必要な対策、中長期的視点に立った対策の二本柱の対策が盛り込まれました。このうち、公共事業などは入札などの手続に若干時間がかかるわけでありますが、それでも夏を過ぎたころからは何か動きが出るのではないか。少し明るい兆しが見えてくるのではないかと期待したわけであります。しかしながら、一向に先が見えてこない。先が見えてこないどころか、さらに悪くなってきているのではないかと思われます。  石川県は中小零細企業県であります。能登地区の機屋さん、加賀地区の機械加工の下請企業、さらには輪島塗、加賀友禅、九谷焼、山中漆器などの伝統産業、これらはほとんどが従業員数人の中小零細企業であります。しかしながら、これらの産業が地域の経済を支えてきたわけであります。今、こうした中小零細企業がかつてない厳しい不況の中で試練に直面しております。業況の悪化で金融機関からも見放されようとしているところもあるわけでございます。  銀行経営も大変厳しくなってきていると聞いております。不良債権を抱えたくないということもわかりますが、銀行業務というのはある意味では公共性もあるわけでございます。金融というのは企業の血液であります。輸血によって命を救うこともできるわけであります。金融機関にはこのあたりのことを十分理解してもらわねばならないと思っております。  県の制度金融や信用保証協会の機能は、こうした金融機関の業務を先導的に補完していかなければなりません。こうした厳しい時代はなおさらであります。  そこでまず、県の緊急融資の実績はどのように推移してきているのか。利用者はどのような規模の企業が多いのか。零細企業にまでしっかりと行き届いているのかどうかにつきましてお伺いをさせていただきます。  また、最近の信用保証協会の保証実績はどのように推移してきているのか。さらに、県の緊急融資と保証とはうまくかみ合っているのかどうかにつきましてもあわせてお伺いをさせていただきます。  次に、国がことし八月に発表しました貸し渋り対策大綱についてであります。詳しい内容につきましては検討中とのことであり、まだ見えてこないようでございますけれども、特別保証制度や保証限度額の引き上げなどが盛り込まれていると聞いております。県としてどのような制度になると聞いておられるのか。また、保証制度の変更を受けて県として対応すべきことはないのか、あわせてお伺いをさせていただきます。  次に、機械工業の振興につきましてお尋ねいたします。  本県の機械工業の分野にはすぐれた技術を持つ中小企業も多く、その独自の技術を生かして特定の分野で全国的に高いシェアを持つ企業が多いのも特徴であります。しかし、ほとんどが中小零細企業で多品種少ロット生産を行い、大手企業などからの下請部品加工に依存するといった形態であります。こうした中小企業の受注は長引く不況のため、大きく減少しており、発注量の回復も難しい状況にあります。こうした機械産業の部品供給を支える鋳造、鍛造、メッキ、プレスなど基礎的なものづくり企業はその保有する技術をさらに磨き、新製品、新技術開発へのチャレンジによりまして新しい分野へのマーケットを開拓するといった取り組みが求められております。  しかしながら、人的、資金的に限界のある中小企業のみの力ではこうした課題の克服は極めて困難であり、県の支援は欠くことができません。また、現在の景気低迷への対処だけにとどまらず、中長期的な視点で足腰を強くするための対策も講ずるべきであると思います。例えば競争が激しい既存の市場から今後市場の拡大が見込まれる新しい分野へ進出するため、技術分野ごとに解決すべき技術的な課題の整理や技術高度化の戦略を練るような取り組みはできないのでしょうか。  また、機械加工技術の高度化や中小企業の新製品の試作を促進する技術開発面の支援ができないのでしょうか、お伺いをいたします。  ぜひ、工業試験場や業界団体が連携して、これらものづくり基盤の強化を通じて機械産業を担う中小企業を元気づけてほしいと思います。  次に、繊維産業の振興につきましてお伺いいたします。  景気の低迷によりまして、繊維王国と言われる石川産地におきましても経営環境は極めて厳しい状況にあります。織物業や撚糸業では生産量、加工賃とも前年を大きく下回っているにもかかわらず、在庫がふえるばかりという話を聞かされます。  私の住んでおります河北郡は、繊維でも撚糸やゴム入り織物などが盛んな地域でございます。ちょっと数字は古くなるかもしれませんが、昨年一月現在の河北郡内の撚糸工場の数は二百七十四企業で、そこで働く従業員の数は七百七十人、機械の台数は千八百二十五台であります。また、ゴム入り織物などの繊維雑品の工場は二百六十八企業、従業員は九百五十二人ということでございます。  この数字は、十年前と比べますと、ともに四割の減少となっております。現在に至るまでには幾多の変遷があったわけでございますけれども、今ほど繊維産業が厳しい状況に直面したことはこれまでにはなかったと思われます。  アジア諸国からの安い繊維製品の大量輸入、さらに国内の景気低迷が追い打ちをかけております。基幹産業である繊維産業に元気が出ないと地域全体にも活気が出ません。景気の低迷、経営者の高齢化、後継者不足、設備の老朽化などにより、深刻な状況にある繊維産業の実態につきましてどのように認識をされておられるのか。また、このような現状におきまして石川産地の将来の展望、本県の繊維産業のあるべき姿、さらには今後の課題などにつきましてどのような方策を進めておられるのか、お伺いをさせていただきます。  次に、雇用問題につきまして伺います。  最近の雇用情勢は、景気の影響と産業構造の変化により失業率が増加し、全国の完全失業率は四・一%と厳しく、本県におきましても有効求人倍率は七月で〇・五五と昨年四月に一を割って以来、十六カ月連続で低下してきております。こうした中、今年度より高等技術学校では離職者向けに十月からの入校生を募集していると聞いております。これは現状の雇用状況を考えますと、まさしくタイムリーだと思いますが、現在の応募状況はいかがでしょうか。  また、六月補正予算で総合経済対策として新たに企業のニーズに即した能力開発をする離職者短期職業能力開発事業を実施しておられますが、進捗状況につきましてもお尋ねいたします。  さらに、この事業につきましては今後も引き続き実施していく考えがあるのか、あわせてお伺いをさせていただきます。  次に、障害者の雇用につきまして伺います。県では、バリアフリー条例のもと、障害者の方も含めたすべての県民がともに生きがいを持って生活できる福祉社会の実現に向けまして努力されているところであります。障害者の社会、経済、文化などあらゆる分野への完全参加を目指すためには雇用の確保が極めて重要であると思います。  しかしながら、雇用情勢が厳しい現在、障害者の方々の就職環境も大変厳しい状況と思われます。また、この七月には障害者雇用促進法が一部改正され、企業の法定雇用率が一・六%から一・八%に引き上げられております。これにより、法定雇用率を達成していない企業が大幅に増加すると思われます。県としてこれらの企業に対し、障害者の雇用促進をどのように働きかけていくか、お伺いをさせていただきます。  次に、観光振興についてであります。  本県の観光入り込み客数は、阪神・淡路大震災に始まり、一昨年のO157、昨年の重油流出事故、さらには今回の景気の低迷により、その数は徐々に減り、観光業界にとりましては非常に厳しい状況であります。本県経済におきましても観光産業は重要な産業であることは御承知のとおりであります。しかしながら、観光客の大幅な落ち込みにより、観光産業に携わる多くの方々は将来に向け大きな不安を抱いているのが現状でございます。このような現状から一刻も早く脱却すべく対策を講じることが緊急の課題であると思います。  そこで、観光誘客の促進方策につきましてお伺いいたします。ことし四月、本州と四国を結ぶ明石海峡大橋が供用開始された結果、マスコミの報道などによりますと四国の各県には多数の観光客が押し寄せました。逆に周辺の南紀などは大きく減少し、本県も少なからず影響があったと聞いております。さらに来春には本四架橋計画三ルートの最終であります尾道今治ルートも供用開始されることとなっており、四国の各県との交通アクセスは大幅に改善されます。当然、四国へ入る観光客もふえると思われますが、逆に四国の四百万人の新しい市場を見逃すわけにはいきません。積極果敢に四国からの誘客に取り組むべきと思います。既に小松から松山、高松への日本エアコミューターの定期便も就航しているわけですが、県の考えをお伺いいたします。  能登では現在、能登空港、能越自動車道などの整備が進んでおります。のと鉄道や来年就航予定のベイクルーズのとなどと相まって、これらが完成すれば陸海空の交通インフラが飛躍的に充実されることになります。能登地域の振興のため、早期実現を大いに期待しているところであります。しかし、いみじくものと鉄道の経営悪化が問題となっていますように、こうしたインフラはあくまでも能登振興の手段にすぎず、これらが有効に活用されなければ真の能登の発展はあり得ません。  全国各地からこれらを使って人々がやってくるいわゆる目的、すなわち能登の魅力づくり、目玉づくりを着実に推進していくことが大変重要であります。このため、こうした意味におきましても能登の振興には観光面の取り組みが特に重要なかぎを握っており、県の指導的役割が必要となってきます。  県では昨年から地元と一体となり、夏の能登観光の目玉として能登キリコ祭りの旅行商品化を推進されておられます。二年目を終えて、その成果と今後につきましてどのように考えておられるのか、お伺いをさせていただきます。  最後に、住宅供給公社の井上の荘の住宅分譲につきましてお伺いいたします。  景気低迷の中、住宅産業も厳しいという話を聞かされます。津幡町の井上の荘でも毎年住宅展が開催されておりますが、ことしの分が三十四戸のうち十戸、昨年の分は四十戸のうち三戸の売れ残りがあると聞いております。あの手この手の販売作戦も展開されており、御苦労は十分にわかるわけでございますけれども、なかなか厳しいようであります。こういう状況であるがゆえに、ここに参入している建築業者の一部には参加しようという意欲が若干薄れてきているという話も聞かされるわけでございます。  住宅を購入しようとするお客さんのためにも、また技術を競っていい住宅を提供しようとする建築業者のためにも買いやすい、そして売りやすいものをつくる方策を考えるべきではないでしょうか。  例えば、静岡県や神奈川県などで既に実施されていると聞きます何十年間かの定期借地権を土地に設定し、賃貸契約を結ぶという方法はとれないのでしょうか。また、ことしの価格を見ますと四千万円前後が主流のようですが、若い方々には極めて高価な買い物となります。若い夫婦が二人だけで住もうとするならば、そんなに大きな家は必要ないのではないでしょうか。  これまでの床面積百五十平方メートル前後ではなく、三割も四割も小さい家を建築し、いつでも必要なときに増築可能な設計をしておくと、こういうような方法はとれないのでしょうか。  さらに、これら両方を組み合わせれば若い方々でも十分に買える価格設定ができると思いますが、いかがでしょうか、お伺いをさせていただきます。  以上、不況のもとでの対策などにつきまして質問いたしましたが、誠意ある答弁をお願いをいたしまして質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○副議長(向出勉君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) 矢田議員の一般質問にお答えいたします。  不況対策を中心にしての御質問でございますが、まず第一点の金融対策でございますけれども、緊急経営支援融資、この実績につきましては昨年の十二月から本年八月までの間、件数にしまして千三百七十件、金額にしまして約二百三十四億円ということでございますので、対前年同期比で比較をいたしますと件数で七・〇倍、金額で七・三倍と、こういうことになっております。  それから、保証協会による保証承諾の状況でございますけれども、本年四月から八月までの間の保証件数は全体で四千三百八十一件、約四百七十九億円ということで、件数では対前年同期とほぼ同数ということでございますが、金額で約一一%増と、こういうことに相なっております。そのうち、いわゆる緊急経営支援融資に係る保証は八百五十五件、約百四十五億円ということでございますので、件数で約八・五倍、金額で約九・〇倍と、こういうことに相なっております。  さらに、緊急経営支援融資におきましては信用保証協会の保証つきとなっております融資が約九割を占めておるわけでありまして、県制度融資全体の保証つき割合約六割を大きく上回る結果と、こういうことに相なっております。  こうした状況から見ますと、緊急経営支援融資につきましては保証協会としても積極的に保証引き受けを実施をしておるということでありますし、厳しい経営環境下にあります中小企業の資金調達の円滑化にそれぞれ精いっぱいの努力をいただいておるものと、かように認識をいたしておるところであります。  次に、機械工業振興についての御質問がございました。ものづくりはすべての産業のいわば基盤ということであろうと思います。こういったものづくりというものが衰退をするというようなことがあってはならない。これはしっかりこれからも支えていかなければいけない、こういうふうに思っております。  とは申しましても、大変市場における競争は激化をいたしております。そういう意味では、とりわけ私ども機械産業のいわば部品供給を支えております鋳造、鍛造、メッキ、プレス、こういった最も基礎的な技術産業、こういった企業が今後さらに成長を遂げてまいりますためにはやはり新技術の開発といったことにも取り組んでいかなければいけませんし、これまでの分野とは違った新しい分野からも受注の拡大、こういったことも必要になってまいりますし、今後成長が期待をされる市場にも積極的に進出をしていく。こういったことが不可欠であろう、こういうふうに思っておるわけでありまして、そういった意味ではそういった方向に向けてさらに積極的な対応がなされるように私どもも必要な支援を惜しんではいけない、このように思っておるところであります。  幸い石川県の鉄工機電協会におきましても、こういった企業の持つ意味合いを十分御理解もいただいておりまして、医療福祉とか情報通信、これはいわば今後成長が見込まれる分野ということでございますから、そうした分野への進出に向けてのいろんな技術的な課題というものがございます。そういった課題の克服に向けまして産学官からなります新産業創出研究会が設置をされたということでございます。とりあえずは今年度は鋳物とメッキ業を対象にしてやっていこうと、こういうことでございます。そういう取り組みが既に協会の方でも行われておると、こういうことでもございますので、そういう取り組みも我々積極的に後押しをしていかなければいけないと、このように思っているわけであります。  こういったものづくりの基盤の活性化のための技術開発戦略、こういったことにつきましても今後策定をします産業科学技術振興指針に盛り込むべく、我々も今精力的に作業を進めておるところでございます。  次に、技術の高度化、新製品の試作を促進するための支援ということでありますが、これにつきましては私ども工業試験場が大きな役割を果たしていく必要があろうと、こういうふうに理解をいたしております。既存の技術の高度化をさらに促進をしていく。あるいは、新製品の試作開発、こういったものにも工業試験場も積極的にかかわり合いを持っておるわけでありまして、こういった取り組みを通じて道は必ずしも平たんではありませんけれども、いわば下請受注生産型企業から企画提案型企業への脱皮というんでしょうか、そういった方向に向けてしっかり後押しをしていきたい、このように思っておりますし、今回の九月補正予算でもお願いをしておりますけれども、技術の高度化とか新作品の試作をさらに促進をしていくということで、高速精密加工機械の導入、そういった予算も今の議会でお願いをいたしておるところでございます。  次に、繊維産業についての御質問がございました。繊維産業は本当に東南アジア諸国の追い上げ、そしてこの不況のもとでなかなか需要が盛り上がらないということで四苦八苦しておられるというのが正直なところでございます。しかしながら、そういった当面の対策と並行しながら、やはり基本的には下請加工型、そういうスタイルから消費者のニーズの多様化、少量多品種ということになるんでしょうか、そういったものに的確に対応する製品づくり、そういった産地に向けてのいわば構造転換、そういった取り組みもやはり欠かせないんではないかと、こういうふうに思うわけであります。いわば川上から川中、川下までを見通した対応、これもなかなか言葉で言うほど一朝一夕にして事はならないと思いますけれども、そういう方向に向けての努力をこれからしていかなければなかなか生き残りというものは難しいんではないのかなと、こういうふうに思うわけでありまして、県内の繊維事業者の中でも原糸メーカーあるいは流通、デザイナーと連携をしながら、そういった製品づくりをやっていこうという動きが見えてきておるわけでございます。そういった意味では、市場のニーズにこたえる、あるいはより付加価値の高い商品の開発を行う。昨今は大変不況でございますので、付加価値の高い商品をつくってもなかなか消費者がお買い求めをいただけない。定番品しか買わないという状況もありましてなかなか難しいわけでございますが、こういった努力は怠ってはいけないんじゃないかと、こういうふうに思うわけでありまして、そういった意味ではコモのデザイナーの皆さん方との交流、そういったことで企画力、デザイン力を高めていくということも大事でありますし、石川型のファッションタウン構想というものもございますが、石川県全体を一つのファッションタウンという形で見立てれば、金沢はいわば情報発信基地ということになれば加賀、能登が産地としてそれを例えば支えるとか、そういった方法等もあわせてやはりこれから考えていく必要があるのではないかと、このようにも考えているところであります。  次に、観光振興についての御質問がございました。能登のキリコ祭りでありますが、ぜひこれは夏の能登観光の商品として位置づけをしたいということで、昨年度から全国的な旅行商品化をしようということで精力的に取り組んでおるところでもございます。今年度は去年の観光客の御要望、御意見等も踏まえまして、県外を含めたデモンストレーションをさらに充実をするとか、そういったPR事業をさらに強化をしております。そして、後は桟敷席の設置とかキリコを実際に担いでみる。そういった担ぎ体験、そういったこともモデル的に実施をしておりますし、あとシャトルバスも運行をしてみよう。あるいはキリコ列車を運行しよう。そういった試行でありますけれども受入体制につきましてもいろいろな取り組みを今試行錯誤を重ねながらやっておるところでもございます。  旅行会社における商品としての募集も今年度はしていただいたということで、入り込み客も去年に比べて増加をしておるということでもございます。もちろん、このキリコ祭りは各地区で継承されておりますが、神事という側面もあるわけでありますので、そちらの方の面というのも当然念頭に置いていかなければいけないわけでありますが、片ややはり神事と切り離した全国的なイベントの展開というのもやはり大事ではないか。旅行会社の皆さん方の御意見の中には、能登にキリコ祭りはそれぞれ散らばっておるのでなかなか観光客がうまくそれを見て回ることができない。どこか一カ所に集めてもらって、日がわりで能登の各地域のキリコ祭りをそこで展開をしてもらえれば観光客も担ぎ体験という形で参加できるんではないかと、そういう御意見もあるようでございますので、そういったニーズ等も十分踏まえながらそれぞれ地元の皆さん方とも十分協議をしながら、せっかくのチャンスでもございますので、ぜひこのキリコ祭りの商品化に向けて今後ともひとつ精力的に取り組みを進めてまいりたい、このように考えているところであります。 ○副議長(向出勉君) 山岸商工労働部長。  〔商工労働部長(山岸勇君)登壇〕 ◎商工労働部長(山岸勇君) 国における貸し渋り対策、さらにはまた雇用問題、そしてまた観光振興の一部につきましてのお尋ねにお答えをしたいというふうに思います。  まず、先月二十八日、国において発表されました中小企業等の貸し渋り対策の大綱についての概要でございますが、議員からも御発言がございましたが、一つは信用補完制度の拡充ということでございます。具体的には民間金融機関からの貸し渋りを受けた中小企業に対し、積極的な保証を実行すべく、特別の保証制度というものを創設するということでございまして、国におきましては一〇〇%出捐の基金の創設ということを考えておられるようでございます。  二つ目は、無担保の保険の現行三千五百万という枠を五千万に引き上げる。さらにまた、特別小口保険の現行七百五十万を一千万円に引き上げるというようなことも考えておられるようであります。このほか、政府系金融機関の融資制度の拡充、さらには政府系金融機関の金利の減免措置の延長ということになっておるというふうに聞いております。  信用補完制度の拡充につきましては、中小企業の信用保険法の改正が必要でございまして、今国会中で審議されるというふうに聞いておるところでございます。  県といたしましては、この改正法案の成立を待ちまして中小企業信用保険法の無担保保険の枠と連動する形で運用しております特別小口融資の融資限度額を現行七百五十万円から一千万に引き上げたいということを考えております。  なお、これに先立ちまして、先般九月十六日からでございますけれども、小口融資の限度額を現行一千万から一千三百万に引き上げをして実施をしておるということでもございまして、中小企業者のスムーズな資金需要にこたえているということでもございます。  次に、雇用問題についてでございますが、今年四月より企業のニーズにも対応いたしまして高等技術学校の訓練科目を再編をいたしたところでございます。その際に離転職者の対象訓練につきましても早期再就職と入校機会の拡充を図ることから従来の一年訓練から六カ月訓練ということに短縮をいたしまして、四月と十月に入校できる仕掛けにしたわけでございます。  お尋ねのいわゆる四月と十月の入校状況ということでございますが、四月の入校者は百七十五名の定員に対しまして百五十二名、そしてまた十月、来月からの入校でございますが、これも百七十五名の定員に対しまして現在のところ百三十一名の応募ということでございます。今後とも職業安定機関と連携を図りながら意欲のある人の募集、受け入れに努めていきたいと、このように思っているところでございます。  次に、短期の職業能力開発事業についてでございますけれども、御案内のとおり昨今の厳しい雇用情勢に対応いたしまして離転職者を対象とした短期即応型の職業能力開発事業を実施することとして、建設の型枠、それから建設機械の運転、こうした五つのコースの能力開発を実施し、雇用の安定と確保に努めることにしたところでもございます。  現在、建設型枠と、それから建設機械運転科のコースにつきまして既に講座が始まっておるわけでございますが、引き続きビルメンテナンスあるいは造園、OA科の訓練も順次実施していきたい、このように思っているところでございます。  離転職者の能力開発ということは大変大事でありますが、今後の雇用情勢、さらにはまた今後企業側のニーズというものも聞きながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  次に、障害者の雇用についてでございますが、本県の法定雇用率一・六%を達成している企業は全体で五七・八%ございますし、したがって未達成企業が四二・二%ということでもございます。ただ、県内の企業の平均雇用率が一・七%ということでございまして、法定雇用率の一・六%を上回っておるということでもございます。  このような状況の中におきまして、本年七月一日より法定雇用率が一・六から一・八に引き上げられることになりました。法定雇用率の未達成企業が現在よりもふえるというふうに考えております。県といたしましては、これまでも未達成企業に対しまして訪問指導を初めとする個別指導を実施してきたところでございますが、引き続き障害者の就職面接会の開催あるいは各種制度のPRを図りながら障害者の雇用促進に一層努めてまいりたい、このように考えているところでございます。  観光振興につきまして一点。知事からも御答弁がありましたが、本年の本県への観光入り込み状況でございますが、一月から七月ということでございますが、主要温泉の入り込み状況から見ますと若干温泉によって差はありますが、重油流出事故で観光入り込み客数が減少した前年と比較してもなお二・九%現在減少になっているという状況にございます。  県といたしましては観光誘客を図るため業界あるいは関係市町村と一体となりまして従来からの三大都市圏における集中キャンペーンを実施するなど、また今年も新たに旅行専門誌による集中的なPRも実施をいたしてきているところでもございます。  議員から御提言、御指摘のありました四国からの誘客促進につきましても、今年四月の明石海峡大橋開通や、あるいはまた来春の尾道今治ルートの供用開始によりまして交通アクセスが大幅に改善されることから四国への観光客もふえると思いますけれども、むしろ四国から本県の観光客をJR西日本ともタイアップしながら積極的にふやしていきたいと、そんな努力をしてみたいと、このように思っているところでございます。  それにつけましても、今回の補正予算におきまして高松、松山両市での観光誘客キャンペーンを実施するための予算の計上もお願いをいたしているところでございまして、効果的なキャンペーンを展開することによりまして一層の誘客に努力してまいりたい、このように考えているところでございます。  以上でございます。 ○副議長(向出勉君) 沢崎参事。  〔参事(沢崎覚君)登壇〕 ◎参事(沢崎覚君) 公社住宅について定期借地権と増築可能な住宅の導入についてでございます。  井上の荘は、県公社が平成八年度から分譲開始しているところでありますが、厳しい経済情勢の中、消費者の買い控え傾向が強まり、今年度三十四戸のうち十戸の売れ残りを含め、全体で百十二戸分譲のうち十三戸が未契約となっている。  当公社としても、これまで住宅展、ハウジングフェア、旧盆特別分譲等のほか随時新聞等を通じてPRの活動に努めているところであり、分譲事業が厳しい中、公社としても具体的な販売促進方法等の策定に取り組んでいるところであり、御指摘のように若い世代に対する将来の増築可能な小規模な住宅を加えることも方策の一つであり、また住宅購入時の資金負担を軽減する定期借地権の導入についても現在検討しており、今後導入について前向きに取り組んでまいりたい。  以上でございます。 ○副議長(向出勉君) 北野進君。  〔北野進君登壇、拍手〕 ◆(北野進君) 知事選挙から半年を経た知事、半年後に選挙を控えた議員、置かれた立場は違いますが、県政を取り巻く緊急の課題、中長期的課題は山積しており、しっかりと議論をしていきたいと思います。  まず、経済対策についてです。  今年度予算の累計額は七千億円を突破し、対前年比一七・一%、約一千億円増となりました。県内総生産が約四兆五千億円ですから、仮に全額県内で支出されれば単純に考えて二%以上県内総生産を引き上げることとなります。生産誘発効果を考えると、三%から四%近くの引き上げ効果があるのではないでしょうか。景気を回復軌道に乗せるにはまだまだ国政での課題が多く残っていますが、今は何よりも大型予算の効果を打ち上げ花火で終わらせるのではなく、波及効果をより広く、より長く持続させることが求められているのだろうと思います。  まず、来年度以降の予算規模ですが、県債の発行に依存し、地方交付税の配分を当てにした今年度の予算額を来年度以降も維持していくことは、県財政の健全性維持という観点からも困難であると思われます。今後の見通しをまず伺いたいと思います。  また、拡大した後の縮小となると景気に与える影響も懸念されますが、あわせて見解を伺いたいと思います。  今年度予算の中で、特に投資的経費は対前年比二三・一%、五百四十億円余りのプラスとなっています。公共事業の効果は秋から期待できるとの答弁がありましたが、経済波及効果が低下した、言いかえればすそ野が狭くなってきた建設業の一人勝ちで終わらないかと懸念されます。  各種経済調査では過剰設備の圧縮傾向が鮮明にあらわれており、公共投資の増額もバブルで肥大化した設備の稼働率を一時的に上げることにはつながっても、新たな設備投資にはつながらないようです。内需の柱であり、景気回復のポイントと言われる設備投資や個人消費の回復、さらには雇用の確保についてどのような見通しを持っておられるのか、伺いたいと思います。  もちろんおくれている社会資本整備を国の経済対策を利用し、この際一気に進めようというのも選択肢として十分に理解はできます。しかし、中長期的に見れば維持管理費はもちろんのこと、今後は施設の更新に要する費用も軽視できない額になっていくのではないかと思われます。  東京都は都が管理する道路や住宅など社会資本の維持更新に必要な財政負担を調査し、二〇二〇年代には投資的経費の八割程度に達し、新規事業が難しくなるという試算をまとめています。財政見通しとともに、今後の施設の維持管理、更新に要する費用の見通しも立てておくべきと思いますが、いかがでしょうか。  さて、景気変動は基本的にはマクロ現象であり、しかも日本の場合は、最近の景気対策を見ましてもその中身の半分は住民税減税と交付税削減、そしてそれを埋め合わせるための地方債発行という地方財政を巻き込んだ景気対策が展開されます。地方分権が進めば、このような景気対策のあり方自体見直しを迫られるものと思いますが、現状は地方財政も運命共同体に巻き込まれています。  また、国と違って県は開放経済ですから、政策効果は域外へも漏出していきます。したがって、県独自の経済対策にはおのずと限界がありますが、限られた財源と一定の制度の中、地方財政による景気対策はどの分野でどこまで有効と考えておられるのか、基本的なことですが、所見をお聞かせいただきたいと思います。  次に、環境行政です。
     ダイオキシンの測定・分析業界では、この五月に談合疑惑が明るみに出て、公正取引委員会による立入調査が行われました。その後の入札結果が注目される中の八月六日、環境庁が全国の大気や河川などに含まれるダイオキシン類の全国一斉調査のため、全国を十二ブロックに分け調査、分析の一斉入札を行ったところ、予算総額十五億円に対し、すべてのブロックで予定価格を大幅に下回り、落札価格の総額は九億一千万円、四割近い削減となりました。  また、東京都渋谷区が独自に発注した測定・分析調査業務発注では、コプラナーPCBが測定項目に入って、一検体当たりの単価が二十二万円となっています。特定の業者の独占状態であったころは一検体五十万円もしていたわけであり、独占状態が崩れた結果とも言えますが、これまでの価格の不透明さが一気に浮き彫りとなりました。もちろん米国などと比較するとまだまだ国内の価格は高く、さらに下がる可能性もあります。  そこで、ダイオキシン調査に関して以下四点伺います。  一点目、今議会に提案されております県独自のダイオキシンの実態調査は、六地域、各六媒体で予算一千万円となっております。一検体当たり二十七万円となっていますが、その算定根拠をまず伺いたいと思います。  二点目、この際、日本の調査機関より精度が高く、低コストと言われる欧米の業者にも参入の道を開く一般競争入札の導入を検討すべきではないでしょうか。  三点目、環境ホルモンの恐怖が語られ、薬物毒物事件が続発する中、今後ダイオキシンを初めさまざまな化学物質の検出、調査のニーズが高まると思われます。保健環境センターを中心に県で調査能力を備えていくのか。海外の調査機関も含め、より信頼精度が高く低コストの業者への入札の道を開くのか、あるいは工業試験場が企業や大学とも協力し、環境分野の検査機器の開発に取り組むのか、調査対象物質ごとの対応を検討していってはいかがでしょうか、所見を伺っておきたいと思います。  四点目、今回の調査はダイオキシンの安全基準を策定する国の調査に協力し、さらにまた全県的な汚染状況の実態把握を行うもののようです。しかし、かねてからダイオキシン排出源周辺の住民からは環境や人体の汚染状況の調査を一刻も早く行ってほしいという要望があります。一方で、出てくる数値の一人歩きも心配され、調査に踏み込む決断が難しいようです。今後の県としての対応方針をお聞きしておきたいと思います。  次に、米軍掃海艦金沢港入港について伺います。  去る八月七日午前八時から十日まで七十二時間、佐世保基地を母港とする在日米軍の掃海艦「ガーディアン」が金沢港御供田埠頭に係留しました。係留の目的は物資の補給と乗組員の休養のためとされていますが、時あたかも国会では周辺事態法案など新ガイドライン関連三法の本格的な審議を控えており、さらには在日米軍艦の金沢港入港自体過去に例がないことにかんがみると、新ガイドラインの先取り、有事対応への地ならしとの疑念を抱かざるを得ません。  先般の北朝鮮のミサイル発射事件に対し、政府を初め多くの国民は怒りの声を上げました。道義上許されることではなく、県議会の決議や県当局の対応も当然であります。  ところが、国際法上の根拠もなく、しかも警告なしで他国の領土を爆撃し、百人以上の死傷者を出した八月二十一日のアメリカ軍によるスーダン、アフガニスタン爆撃に対しては、小渕政権は消極的ながらも理解するとして容認の姿勢を示し、日本国内の関心もやや低いように思えました。しかし、今回のこの攻撃には、横須賀に司令部を置く第七艦隊の艦船をプラットホームとして、トマホークが使われたことは想像にかたくありません。テロに対してはテロで対応するという米国の論理は、日米安保条約のもと、多くの米軍基地を抱える日本も新たな報復テロの対象に巻き込まれることを意味します。実際に在日米軍基地を含む全世界の米軍基地は警戒体制を強めています。こうした状況下での新ガイドラインであり、今後も続くであろう米軍の金沢港入港問題であることを認識しておかなければなりません。  そこで、以下三点お聞きします。  まず、今回の「ガーディアン」の係留許可手続に当たっては、通常の民間船同様、A四サイズの申請書一枚によってなされます。これ自体意外な印象を持ちますが、さらに奇異に思えるのは、危険物の有無を記載する欄が「無」、つまりなしと記載されていることです。たとえ掃海艦とはいえ、軍隊の艦船が弾薬一つ積んでいないとは考えられません。ここで言う危険物の定義をまずお聞きしておきたいと思います。  二点目、今回の係留許可に当たっては、県港湾課が核の有無については外務省に、機雷の搭載の有無については横須賀の在日米軍司令部にそれぞれ電話で確認しています。これで県民の安全確保が確認されたとは思いませんが、問題なのは現在の県港湾施設管理条例ではこうした確認行為すら一切規定されていないということです。民間船と同様、船体の大きさと港の利用状況から埠頭を確保できるかを判断し、技術的、物理的に係留に支障がなければほぼ無条件に受け入れることになりそうです。  核兵器については日本政府は事実上確認しておらず、武器や弾薬、劣化ウラン弾なども「なし」と記載されればそれまでです。また仮に、強力な殺傷能力のある兵器が積載されており、危険物「あり」となっていても、それが係留不許可の理由となるかは条例を読むだけでは不明です。いわゆる知事の政治判断となるのでしょうか。この際、武装鑑の入港については民間船とは別の手続、制限、係留許可の判断基準を設けるべきではないでしょうか。  三点目、いわゆる有事・周辺事態の際の港湾使用については、今後の法案審議の行方に大きく左右されますが、六月議会でも知事もさっぱりわからないと言われた周辺事態法案について、その後防衛庁職員が各自治体に直接説明に回っているとも聞きますが、本県にはどのような説明があったのでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。  次に、原発問題について伺います。  まず、志賀原発についてです。二号機増設への準備工事が今月一日から始まりました。準備工事といえば簡単な工事かと思いがちですが、北陸電力の説明ではコンクリート製造設備などの用地造成約十万平方メートル、物揚げ場周辺海域のしゅんせつ六千平方メートル、コンクリート製造設備や事務本館増設など大規模な工事となっています。二号機本格着工に向け大きく踏み出した印象を受けます。しかしその一方で、来月十六日には原子力安全委員会主催の第二次公開ヒアリングが控えています。通産大臣による設置許可もその後となります。安全協定に基づく県の北陸電力に対する増設の事前了解もまだ済んでいません。こうした中での準備工事の着工をどのように理解すればいいのでしょうか。  北陸電力は、申請どおりの許可が通産大臣から出され、県の事前了解もそれと前後して出されるものと確信しているというよりも、出されることになっているからこそのこのような大規模な準備工事に着工できるのではありませんか。まさに原子力安全委員会が北陸電力の身内であることを証明する動きと言わざるを得ません。県も環境保全協定の締結当事者となり、その事実を追認したと言えるでしょう。  知事は、ことしの当初議会の予算特別委員会で二号機の事前了解の判断基準には一号機のこれまでのトラブルの原因究明と再発防止対策が十分なされているかどうかということも当然その判断基準として入ってくるとの認識を示されました。しかし残念ながら依然北陸電力との間にはなれ合い行政が続いていると言わざるを得ません。知事の見解を伺います。  また、同じく当初議会で知事は、原子力安全委員会を事故調査の第三者機関であると述べましたが、まさに身内だからこそできるこのような動きを見せつけられても第三者機関という認識に変わりはありませんか、あわせて知事の見解を求めます。  次に、珠洲原発についてです。知事はことし三月の二期目の選挙戦に向け、支持する各政党、団体と政策確認書を交わしました。珠洲原発あるいは電源立地については若干表現は異なりますが、基本的には住民合意を尊重し、慎重に対応するという趣旨は共通しています。  自民党県連は、知事に対し文書で政治姿勢を質問し、知事の回答を受けて推薦を決定されたように記憶しています。ここでは特に原発に限定せず、エネルギー政策全般についての見解として「地域住民の合意を基本に推進する」という表現であったかと思います。マスコミ各社によるアンケート調査への回答も同様で、多くの有権者は珠洲原発についての知事のスタンスは二期目も一期目同様変わらないという認識で投票したものと思います。自民党の皆さんも不満はあってもそれを承知で担いだのではないでしょうか。  ところが知事選翌月、自民党珠洲支部が早速動き始めました。市民との対話を掲げ、合意形成道半ばという市長も含め、調査再開への要望を自民党県連へ訴えたのでした。自民党内部の議論ならば自由ですが、知事に決断を下すよう求めるとなると、知事にとってはまさに公約違反を迫られるということになります。しかし、そこは良識ある自民党県連であり、そのような動きには至りませんでした。  しかし、今回の代表質問では「住民合意の答えができるまでひたすら待つことが県民党か」として、「立地推進を早期に決断すべき」と迫ったわけです。自民党珠洲支部と同じになりました。知事選挙からわずか半年、住民合意をめぐっては推進派住民からも相手にされなくなってきた市長と語る会が市内各地で開かれたぐらいで、情勢に何ら変化がない中、住民合意を最大限尊重するという知事に対し公約違反を迫るとは、政権政党のおごり以外の何ものでもありません。このような動きについて知事はどのように受けとめておられるのでしょうか、率直な胸のうちを聞かせていただきたいと思います。  もう一点、先日の代表質問で気になりましたのは、原発ができないから珠洲市の過疎が進むんだという主張です。原発ができないから過疎が進むのか、できもしない原発計画にすがり続け、住民の間に亀裂をつくっているから過疎が進むのか、これは基本的な非常に重要な論点です。推進派の方との議論もやぶさかではありませんが、その議論は別の機会ということで、ここで知事に尋ねたいのは、いまだにこのような指摘が出てくるということは、裏を返せば原発計画以外の県による珠洲の振興策が不足している、見えにくいのではないかということです。住民が合意できる現実的活性化策には、今まで以上に積極的な支援を行うべきと思いますが、知事の決意を伺っておきたいと思います。  さて、今月八日から十日にかけて産業委員会の県外行政視察で秋田、青森両県を訪れる機会を得ました。青森県といえば六カ所村の核燃サイクル基地や、むつ小河原開発、三沢基地といった大きな施設や開発が目につきます。実際、大規模開発と企業誘致によって県民所得を引き上げていくのが長年の青森県政の方針だったと聞きます。しかし、四年前の三内丸山遺跡の発掘は、全国並みを目指すキャッチアップ型の発想から地域の独自性を重視していこうという発想の転換を生み、それがことし七月の青森県としての文化観光立県宣言へとつながっていったそうです。  この宣言の発想を生んだのがヘリテージ・ツーリズム、すなわち自然・文化遺産観光です。ヘリテージ・ツーリズムはもともとイギリスで考えられたもので、その地域に固有な自然・文化遺産を保全、活用しながら地域振興を図ることをねらいとしています。青森県では三内丸山遺跡や世界遺産・白神山地の保護・保全、そしてその活用を目指した民間団体の活動があり、東北三大祭りのねぶた祭りや、青森県内百三十五カ所に及ぶ温泉を活用した湯治客の誘致なども絡め、文化観光立県に向けた取り組みが具体化しています。  これに対して本県の観光を見たとき、温泉、食、自然、歴史、文化それぞれすばらしい素材を抱えながら、よく言えば多様な観光ニーズにこたえるということになるのかもしれませんが、あれもこれもで特徴、インパクトが弱くなってきているのではないでしょうか。しかし、霊峰白山と手取層群の恐竜化石、「文化財庭園として飛躍している」と知事が述べられました兼六園と金沢城址を核にした層の厚い加賀百万石の文化、そして能登では雨の宮古墳群を初めとした能登風土記の郷、そして三内丸山遺跡にまさるとも劣らないと言われる真脇遺跡があります。地域に固有な自然・文化遺産を保全、活用しながら、観光客に知的な感動を与えるヘリテージ・ツーリズムに最適な地域資源に本県は恵まれています。観光政策の柱に据えていくべきではないかと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。  さて、二〇〇三年に能登空港開港を迎える能登の観光ルートの一番の目玉は、私は真脇遺跡だろうと思います。青森で年間五十万人を超える見学者が訪れる三内丸山遺跡を見、全国の縄文文化研究の拠点を目指す意気込みを聞き、翻って本格的発掘を控えた真脇遺跡の今後の研究、発掘、保存、さらには観光資源としての活用に思いを馳せたとき、両県の取り組み体制、意気込みの違いを痛感せざるを得ません。研究のハイテク化、国際化、学際分野での研究の推進、各地の縄文遺跡ネットワークの構築など、大きな課題が山積しているのではないでしょうか。  ことしは埋蔵文化財センターもオープンしました。公共事業を促進するために住居の柱跡と茶わんのかけらを調べる埋文調査だけでは宝の持ちぐされで終わってしまいます。三内丸山遺跡に匹敵する真脇遺跡を学術的にも、そして観光資源としても生かし切るため、史跡の直接の管理団体は能都町ですが、県がもっと主体的にかかわっていくべきではないかと思います。積極的、前向きな答弁を期待しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○副議長(向出勉君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) 北野議員の一般質問にお答えをいたします。  第一点は、経済対策についての御質問でありますけれども、現在、景気がこういう状況でございますから、県としてやれる需要創出策、そういったものについては全力を挙げていかなければいけない。そして、中小企業の皆さん方に対する経営安定対策も全力を挙げていかなければいけないということで、予算規模が結果として七千億を超える、そして県債への依存体質が高まったと、これは御指摘のとおりでございます。しかしながら、今一番大事なことは景気を回復軌道に乗せると、こういうことでありますから、やはり公共投資を中心とした需要拡大策をいわば県を挙げて今取り組んでおるということでありまして、これが未来永劫続くということがあってはこれは県財政も大変でございます。あくまでもこれは景気を回復軌道に乗せるための緊急避難的な措置として私どもはやっておるというふうに認識をいたしておるわけでありまして、景気が回復の軌道に乗ってくれば、本来あるべき財政の姿に戻すのはやっぱり当然のことでございまして、そういう意味では公共投資が景気回復、企業の収益改善、そして税収の増加と、こういったサイクルを早く描いてもらいたいなと、これは私どもも祈るような気持ちでありまして、来年度の予算につきましてはまだ言及するほどのデータがございませんけれども、景気の回復状況がどうなるのかということを今後注意深く見きわめて、その上でまた判断を下していく必要があろうと、このように考えておるところでございます。  次に、公共投資の効果についての御質問がございましたが、公共投資、公共事業についてはいろんな指摘がなされておるわけでございますが、私どもがとるべき需要創出の柱としては、公共事業を位置づけをしていかざるを得ないんではないのかなと。  同時に、社会資本の整備という側面もございますので、北野議員も毎日通勤いただいておる珠洲道路にしましても、その費用対効果という面についてはどうかという御指摘もあるわけでございますけれども、やはりこれは奥能登の一つの基盤整備を行い、必要な社会資本の整備を行うという観点に立てば、これまたその線形改良は当然必要な事業だというように私ども位置づけをいたしておるところでありまして、その点は北野議員にも十分御理解をいただけるんではないかと、このようにも思っておるところでございます。  そして、従来型の公共事業だけではなくして、新たな物流の効率化とか情報通信基盤の整備とか、俗に新社会資本と言われているようなものにつきましても、さらに意を用いていく必要があるのではないかと、このようにも思っておるところでございます。  次に、施設の維持管理についての御質問がございました。  地方公共団体の財政運営は財源としては国庫支出金、県債、地方交付税、そして県税収入と、こういったことから相成り立つわけでありますけれども、このそれぞれの要素がここ二、三年大変大きく変動しておるわけでありまして、来年度も所得税、住民税の恒久減税が行われる。法人関係税の恒久減税を行う。その幅も今わからない。それは交付税にも影響しかねない。もう不確定な要素が余りにも多過ぎるということでありますんで、とてもではありませんけれども、中長期的な財政見通しを立てるには技術的な問題だけではなしに、余りにも不確定な要素が多過ぎますので、非常に難しいということは御理解をいただきたいと。  さりとて、行き当たりばったりの財政運営ということじゃなしに、我々も我々の力でできる限りの適切な財政運営には当然心がけていく必要があろうと、このように考えているところでありまして、維持管理費につきましても東京都の方式はちょっと私どもよくはわからないんですが、いずれにしても大胆な仮定に基づく推計ということのようでございます。  私ども維持管理ということにつきましては、効率的な管理方式とか、適正な利用者負担、こういったことも当然検討しなきゃいけませんし、いずれにしましてもいろんな配慮をしながら財政運営に支障を与えないような工夫は凝らしていかなければいけないと思いますし、市町村の整備する文化施設等については地方交付税で地方債許可額の一%が管理費として財源措置がなされておるということもあるわけでありまして、県についてはまだその措置が全くないということでございますので、この辺のところもぜひ交付税の算定の際には配慮をしていただきたいなと、このようにも思っているところであります。  次に、地方財政の景気対策への効果ということでございますけれども、これはいろんな見方、考え方があるんだろうと思いますけれども、とにもかくにもこの経済対策、国と地方が一緒になって今取り組んでいかなければいけないということでありますし、とにもかくにも財政支出の三分の二を地方が負担をしているという、これは現実があるわけでございますから、この地方公共団体が行ういろいろな財政施策というものはこの景気にも相当大きな影響を及ぼすものと、そういう意味では大変地方財政は重要な役割を果たしておると、このように私は認識をいたしておるわけでございます。  県の行いますいろんな公共事業等々を通じていろんな資材の調達とか、雇用の吸収、そして何よりも社会資本の整備という側面があるわけでありますし、中小企業の皆さん方の経営安定ということについても県は大きな役割を果たしていかなければいけないと、このようなことも相考えているところでございます。  次に、環境行政についての御質問がございました。分析体制の整備という話がございましたが、これは大変大事な視点であろうというふうに私ども思っておるわけでありまして、当面は民間の分析機関に委託という形でこの化学物質の調査、分析を進めておりますけれども、今後保健環境センターというものがあるわけでありますから、ここにおける専門技術者の養成を初めとする分析体制のあり方については、これはぜひとも検討していく必要があろうと、このように考えておるわけであります。  ただ、保健環境センターですべてやるというのも、賄えというのもこれなかなか難しい問題でありますから、そこはいろんな役割分担をしていく必要があろうと、このようにも思っております。  それと、この計測手法についてもできるだけ即効性があるようなもの、こういった技術開発も検討していかなきゃいかぬということで、今、工業試験場ではBODなり、あるいは有害物資につきましてバイオエレクトロニクス技術、こういったものを用いまして、環境計測手法を工業試験場と大学、民間企業との間で今共同開発をいたしておるところでございます。仮にこの環境計測技術が確立をされますと、BODは従来五日間かかっておりましたのが五分ないし三十分で分析ができるとか、有害物質、重金属、農薬等につきましても従来は三週間かかっておったものが五分ないし三十分で分析ができる、こういうことでございますから、そういう技術開発もあわせて進めていかなければいけないと、このように考えているところであります。  次に、ダイオキシンの排出源の周辺への環境調査ということでございますが、この環境調査につきましては、現在国の緊急全国一斉調査の対象ということにもなっております。もちろんこれは強制にわたるということはできないわけでございますが、今後関係市町村における調査はやっぱり行われるべきであろうと、このように思っておるところでございます。  次に、原発問題。志賀原発二号機の準備工事についての御質問でありますけれども、この建設準備工事は原子炉施設とは直接かかわり合いのない土地の造成、海底のしゅんせつ等であるということでありますんで、関係法令の定めるそれぞれの基準に従い行われるということでありますんで、そもそも国の安全審査の対象とはなっていないと。この建設準備工事は志賀原発一号機においても設置許可前に実施をされている、こういうことでございます。  八月二十八日に締結をしました協定の内容は、原子力発電所そのものの安全性ではなく、あくまでも工事に伴う大気汚染、水質汚濁、騒音、振動防止等が中心になっておると、こういうことでございますので、原子炉施設本体に関する国の安全審査や県の事前了解とは別のものであると、こういうことでございます。  なお、原子力安全委員会は、行政から独立した専門家の立場で審議を行う機関ということでありますから、第三者機関であると私自身は認識をいたしておるところであります。  次に、珠洲原発につきましての御質問でございますが、私の考えにつきましてはこの九月議会でも議案説明で申し上げたとおりでございますので、それ以上でもそれ以下でもございませんので、ひとつ御理解いただきたいと、このように思います。  次に、珠洲の過疎の問題がございましたが、奥能登地域の振興につきましては、私ども決して県としても手をこまねいているということではありませんので、能登空港の建設、能越自動車道の整備等通じて、いわゆる高速交通ネットワークの整備をし、この奥能登地域の時間距離の短縮を図るということについて我々精力的に取り組んでおりますし、珠洲道路等の幹線道路網の整備についても精力的な取り組みをいたしておるところでありますし、また、いわゆるリゾート関係につきましても、奥能登リーディングプロジェクトといったものも活用して通年型、滞在型の観光リゾートの拠点づくりと、こういったものも進めておるわけでありますし、市長さんにもいろんな思いがおありになるということでございますから、こういう点についてはこれからもさらにすり合わせをしていかなければいけない、このようなことであろうと考えております。  地域振興につきましては、もちろん地元あるいは地域住民の方々の熱意というものが何よりも大切であろうと、このように思いますが、市長さんも地域振興策につきましては、市民の皆さん方との対話活動というのを精力的におやりになっておられるわけでございます。我々も引き続き珠洲市とは十分連携を密にとりながら、より一層の地域の活性化が図られるようにさらに努力をしてまいりたいと、このように考えているところであります。  次に、ヘリテージ・ツーリズムというお話がございましたが、私もこれは初めて聞く言葉でございます。最近は観光ニーズも本物志向、体験参加、学習型へ移行するというような方向にあるようでございまして、レジャーも、かつてはマスレジャーとか、安近短レジャーとか、バブル経済の最中にはレジャー産業装置型とか、そういったものがございましたが、昨今はレジャーも何かソーシャルレジャーと、こう言われているようでございます。社会性を持った余暇の活用ということでありまして、ボランティア活動とかアウトドアキャンプとか、自然体験だとか、ガーデニングだとか、そういったものがレジャーとして重きをなしてくるという、そういう方向のようでございます。  そういった方向には、このヘリテージ・ツーリズムというのもあるんだろうというふうに思います。こういったものを我々これからぜひ大事にしていかなきゃいかぬと思いますし、豊かな自然資源、文化資源、まだ磨きのかかっていないところもあろうかと思いますが、そういったものにも磨きをかけながら、こういった資源をぜひ生かしていかなければいけないというふうに思っておりますし、我々もこういった地域の資源を活用したルートづくり、テーマ観光ルート探訪事業と、そういったものもやっておりますし、御指摘の真脇遺跡もその一つの柱として我々取り上げていく必要があるんではないかということで、シンポジウムとあわせたモニターツアー等も実施をいたしておるところでございます。  いずれにしても、そういったレジャーなりツーリズムの方向性というものも我々しっかりつかまえながら適時適切な対応を心がけていきたいと、このように思っておるところであります。 ○副議長(向出勉君) 枝廣総務部長。  〔総務部長(枝廣直幹君)登壇〕 ◎総務部長(枝廣直幹君) 周辺事態法案の各県説明の状況につきましてお答え申し上げます。  政府は、これまでに米軍基地を有する県で組織する協議会と自衛隊の基地あるいは米軍の基地を有する市町村で構成する協議会に対しまして説明を行ったようであります。市町村で組織します全国協議会には本県の十市町がそのメンバーとなっておりますが、これら加盟市町に対しましては個別の資料の持参がなされたと伺っております。本県に対しましては、現時点では資料の送付がなされたという状況にとどまっておりまして、その意味では本格的な説明は今後に待たれるというふうに考えております。  以上です。 ○副議長(向出勉君) 藤井厚生部長。  〔厚生部長(藤井充君)登壇〕 ◎厚生部長(藤井充君) ダイオキシンの健康影響調査に関する今後の対応についてお答えを申し上げます。  ダイオキシン類の人の健康に及ぼす影響、血液等からのダイオキシン類の測定方法、その結果の評価方法につきましては現在十分に解明をされていない状況にありまして、国におきましては調査、研究を体系的に行っているところであります。  本県におきましては、厚生省が昨年度から実施している母乳中のダイオキシン類濃度調査について、今年度も引き続き関係市町と連携しつつ協力をしているところであります。  県といたしましては、今後とも国に対しましてダイオキシン類の健康影響、その評価方法などの早急な確立を強く要望し、国における方針決定を踏まえて必要な対応をとってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(向出勉君) 角谷環境安全部長。  〔環境安全部長(角谷征一君)登壇〕 ◎環境安全部長(角谷征一君) 環境行政につきまして二点お答え申し上げます。  まず、ダイオキシンの実態調査費の算定根拠についてであります。ダイオキシンの調査分析費用は、大気、土壌、水質等の検体の種類及び検体の採取状況によりまして違いがあり、必ずしも単純に比較できませんが、今回補正予算でお願いいたしておりますダイオキシン実態調査費一千万円につきましては、他県における契約状況を参考に積算いたしたものであります。  なお、御質問の中にありました環境庁の入札につきましては、ダイオキシンの調査にあわせ、同時分析が可能なポプラナーPCBが加わり、検体数が増加し、分析単価が低くなった点があるものと思われます。  ダイオキシンの調査分析費用に関しましては、最近価格変動が著しい状況にありますことは承知いたしており、今後予算の執行に当たりましてはさらに他県等の状況を調査し、適正に執行してまいりたいと考えております。  次に、ダイオキシンの調査分析業務に欧米業者にも参入の道を開く一般競争入札の導入につきましてお答えいたします。ダイオキシンの調査分析業務につきましては、高い精度や専門性が求められるものであり、信頼性や実績等を十分に確認する必要があることから、現在、有資格者名簿に登録されている六社を指名し、指名競争入札により契約いたしているところであります。  なお、御質問の外国業者の参入につきましては、現行の有資格者名簿への登録が可能でありますし、また、政府調達に関する協定に基づく国際入札につきましては、適用基準額に従い対処してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(向出勉君) 中島土木部長。  〔土木部長(中島浩君)登壇〕 ◎土木部長(中島浩君) 米軍掃海艇金沢港入港についてお答えいたします。  まず、危険物の定義でございますが、在日米軍の掃海鑑「ガーディアン」の係留許可申請書の様式というのは、石川県港湾施設管理条例施行規則に定めておりまして、ここに言う危険物につきましては、港則法第二十一条の規定を適用しております。具体的に港則法に規定されております危険物は、火薬類、高圧ガス、毒物類、放射性物質等、ガソリン、ナフサ等の引火性液体類等でございまして、当該船舶の使用に供するものは除くこととされているものでございます。  それから、武装艦の入港につきまして別の手続等を設けるべきではないかという御質問に対してお答えいたします。港湾法では、何人に対しても施設の利用、その他港湾の管理運営に関し不平等な取り扱いをしてはならないと規定されておりまして、基本的には今回のような米国艦船も民間船と同様に取り扱うべきであると、運輸省への確認を踏まえた上で手続を進めたものでございます。  今後も民間船と同様、現行法令、条例に基づきまして、安全性、民間船への影響の有無等を的確に判断し、県民が不安を抱かないよう適切に対処してまいる所存でございます。 ○副議長(向出勉君) 西教育長。  〔教育長(西貞夫君)登壇〕 ◎教育長(西貞夫君) 真脇遺跡につきましてお答え申し上げます。  この真脇遺跡につきましては、地域の文化財は地域で保存し活用すると、こういう文化財保護法の基本理念がございますが、この基本理念に基づきまして、平成元年の一月に能都町が同法の規定によりまして管理団体という指定を受けております。そして調査整備を進めてきたと、こういう経緯がございます。  この真脇遺跡につきましては歴史的、学術的に価値が高いということ。それで、地域の貴重な資源としまして、将来に引き継ぐべき遺跡でありますことから、県内外の学識経験者の英知を集めまして十分な調査体制で発掘調査に臨む必要があると、こういうふうに基本的には考えております。  そこで、石川県といたしましては、これまでも調査指導委員会や、あるいは発掘調査団に加わりますとともに、必要に応じまして担当職員を町に派遣するなど、積極的に支援をしてまいりました。今後とも能都町と協力しながら調査研究を進めてまいりたい、かように考えております。  以上でございます。 ○副議長(向出勉君) 善田晋作君。  〔善田晋作君登壇、拍手〕 ◆(善田晋作君) 本日最後の質問となりましたが、簡潔に中身のある答弁をお願いいたします。  最初に、行財政改革大綱についてお聞きいたします。  執行部では現在、行財政改革大綱の見直しを進められております。ところで、私には現行の行財政改革大綱につきまして、人一倍思い出深いものがあります。と申しますのも、これが策定された平成七年度は、私は行財政改革特別委員会の委員長に任じられており、この制定にじかに携わった者の一人として、その後の大綱の実行状況につきましては、我が子の成長を見守る親の心境で注視してまいったのであります。  あれから三年が経過し、地方行政を取り巻く環境はさまざまな面で変化をしております。思い出深い大綱でありますが、いつまでも時代にそぐわない大綱にしがみついて行財政改革を進めていくわけにはいきません。新しい視点で中長期的な見直しに立った大綱を策定し、最小の経費で最大の効果を発揮できるような行財政運営をぜひ進めてほしいと思うのであります。まずは行財政改革大綱の見直しに当たっての知事のお考えをお聞きいたしておきます。  さて、今回の大綱見直しに当たりましては、国の行革とも関連する組織の再編や事務事業の見直しなどは避けては通れない課題と思いますが、まず大切なことは、県民が行政に対し何を期待しているのかを適切に把握し、県民の期待を実現させるための手だてを講じることではないでしょうか。  さきに県が実施した県民アンケート調査結果をいかに新しい大綱に反映されようとされるのか。また、県民アンケートの結果についてどのような感想を抱かれたかをお聞きいたしておきます。
     さて、県民アンケートの結果によりますと、職員の応接態度や行財政改革の取り組みに対する評価が低い結果となっております。百十八万県民の一部の方々の御意見であるとの見方もありますが、ひょっとして相当数の県民も同じような思いを持っているのではないかと懸念されるところであります。  職員の応接態度や行財政改革の取り組みに対する評価の問題は、県行政の日ごろの姿勢に対する県民の率直な姿勢、端的に言えば信頼感のバロメーターとも言えるのではないでしょうか。特に応接態度の問題は、県として最も基本的な、また重要な事柄であり、これを重く受けとめ、早急に改善策を講じるべきと考えます。  また、行財政改革の取り組みの評価についても厳粛に受けとめ、大綱の見直しや今後の諸改革の推進にぜひとも生かしていかなければならないわけでありますが、一方では、県の行改の取り組みについて、これまで県民への広報、PRに十分でない面があったということも、今回の低い評価の一因となっているのではないかと思うわけであります。  諸改革の実施状況を適切に県民に知らせていくこと、このことが県民がより県政を理解し、県政に対する適切な提言を出していくための環境づくりにもなるのではないでしょうか。県民アンケートを通じて明らかになったさまざまな課題についてどのように対応されるのかもお聞きいたしておきます。  次に、いしかわサイエンスパークにおける情報通信基盤整備についてお尋ねをいたします。  近年の情報通信技術の発展には目覚ましいものがあります。本県においてもこのような動きを背景に平成三年度から北陸先端科学技術大学院大学を核として、産学官連携による高度かつ先進的な研究開発の拠点の形成を目指して、いしかわサイエンスパークの整備を行ってきております。この間、NTTメディアアークスや真柄建設研究所の進出、最近では三谷産業研究所やいしかわクリエイトラボの建設も動き出しており、これに対応して県は進出企業等の研究開発に供するため、今議会の補正予算案にサイエンスパーク内にLANを敷設する予算を計上しておられます。  そこで、このLANの整備スケジュールについてお尋ねいたします。いつごろ完成し、いつごろ企業が利用できることとなるのか。また、これにより他県の研究開発型の先端的な工業団地と比較し、どのような優位性が発揮されることになるのかについても、あわせてお聞きいたしておきます。  申すまでもなく、サイエンスパークへ進出した企業及びこれから進出を考える企業が、パーク内で研究開発事業を展開していくためには、首都圏を初め、サイエンスパーク外の地域と情報通信を行うため基盤整備は必要不可欠であります。  県では、そのような点を踏まえて、これまでサイエンスパークと首都圏とを結ぶ高速回線の整備構想を策定してきたと聞いておりますが、それらの施設は既に進出した企業のためではなく、今後企業誘致を進めていく上においても有効な切り札となると思います。  また、こうした高度な情報基盤の利活用に対して何らかの支援措置があればさらに企業誘致の効果も高まるのではないかと考えますが、県の考え方をお聞きいたしておきます。  また、国の今年度の補正予算におきましては、高度情報通信基盤整備は重要な柱とされ、二十一世紀の情報新幹線として大容量の光ファイバーケーブルで全国を結ぶギガビットネットワークの整備に着手しております。そのネットワークのアクセスポイントについては、県の積極的な働きかけにより、全国十カ所のうち一つが本県に設置されるに至ったと聞いておりますが、大変な大きなことであり、その誘致に敬意を表しております。サイエンスパークにおいてもその活用が可能ではないかと考えられるのであります。このギガビットネットワークが今後どのようなスケジュールで整備され、どのような企業に利用されるのか、お聞きいたしておきます。  次に、いしかわクリエイトラボについてお伺いいたします。  最近の厳しい景気動向は、新規創業による経済活性化の機能が働いていないばかりか、本県経済の将来にとっても大きな産業構造改革に向けた成長への道筋にも影響を及ぼしていると思われるのであります。  アジア諸国の技術力の向上の進展を背景に、資材の海外調達や海外発注が増加傾向にあるなど、国内産業の空洞化懸念も高まっている中で、本県の産業構造を改革していくためには、これまで以上にハイテクの追求、すぐれた技術に裏打ちされた物づくり基盤の拡充などの要素がバランスよく調和された新規産業分野の創出、展開が重要となっております。  こうした取り組みを促進するためにも起業家精神にあふれ、新商品、新サービスを開発するといった創造的な事業活動を行うベンチャー企業や新規分野へチャレンジする中小企業を育成することが重要であることは論を待たないのであります。  知事提案説明によれば、先月の米国西海岸視察調査で見聞したシリコンバレー地区のインキュベータ施設の運営等は、辰口町で着工したインキュベータ施設であるいしかわクリエイトラボのソフト支援策に大いに参考にすべきものと述べられております。  確かに創業期の企業にとってはハードのオフィス施設のほか、資金や経営ノウハウ、技術開発力など多くの経営資源が必要でありますが、これらは創業者独自の力のみではなかなか整備や準備がなし得がたいものであります。このような創業に向けた数々のハードルを超えるための支援策の一つとして、景気情勢の厳しい時期にあって、いしかわクリエイトラボを整備し、新規創業の手助けをすることに踏み切った県の姿勢を高く評価するものでありますが、以下数点にわたり確認いたしておきます。  まず、クリエイトラボの施設は、貸し研究室であるレンタルラボと貸し事務所であるインキュベータの二つの機能を備えていると聞いておりますが、そもそも両者はどのように違うのか、またどのような企業を対象としているのか、明らかにしていただきたいと思います。また、クリエイトラボの進出する企業に対し、どのような支援策を講ずるのか。ハード面では低廉な家賃を設定されると聞いておりますが、このほかにソフト支援としてどのような支援策を考えているのかをお尋ねいたします。  さらに、今後どのような手段とスケジュールで入居セールスを展開されるのか。  また、潜在利用企業はどれくらいあると見込まれているのかについてもあわせてお聞きいたしておきます。  次に、公共事業の執行能力についてお聞きいたします。  政府は、長引く景気低迷の対策として、今年度の第二次補正と来年度の当初予算を一体とした十五カ月予算の概算要求基準を閣議決定し、特に第二次補正では、景気特別枠として四兆円規模の予算を措置すると報道されております。  さて、本県は、さきの六月補正予算に過去最大の公共事業を中心とした大型の経済対策予算を計上されており、土木事務所を中心に県の公共事業執行部門では、これらの予算執行のため、職員は昼夜を問わずに御苦労されていると聞いております。  しかるに、地域経済の状況はなかなか改善の兆しが見えず、県では今九月補正予算において公共事業の追加を措置されております。加えて、今後さらに第二次補正予算が決定し、各都道府県へ配分されるとなれば、土木事務所等の現場職員がこれまでにない大規模な事業予算の執行に加え、これらの予算執行を担うこととなり、職員の健康等が懸念されるのであります。  しかしながら、職員の御苦労には頭が下がるものでありますが、地域経済の活性化に向けた行政の使命と役割を考えますと、今が正念場であり、歯を食いしばって速やかな事業の執行に取り組んでいただきたいと思うのであります。  また、円滑な事業執行の基本となる用地のストックについては、相次ぐ経済対策の実施により、相当少なくなっていると聞いておりますが、現在、公共事業の用地ストックは十分確保されているのでしょうか。仮に十分でないとすれば、今後予定される公共事業の執行に当たりどのように対応されるのか。また、建設資材の確保や三K職場と言われる建設作業員の確保については事業執行の妨げとなるような不安要素はないのか、あわせてお聞きいたしておきます。  次に、加賀地区の道路整備計画とその状況についてお聞きいたします。  最初に、主要地方道小松辰口線の無患子トンネルについてであります。無患子トンネルにつきましては、現在新しいトンネル工事に着手していただいており、去る八月二日、貫通式が行われ、期成同盟会会長としてお礼を申し上げたいと思いますが、現トンネルが幅員が狭く、大型車の通行が不可能であり、日々、本トンネルを利用する通学児童生徒や地域住民にとっては防災消火活動の障害、交通事故などの危険と隣り合わせの毎日であり、一日も早い完成が望まれているところであります。新トンネルの現在の状況と完成予定についてお伺いいたします。  次に、辰口大橋についてでありますが、現在の橋は幅員も五・五メートルと狭いため、県内最大の手取川でただ一つ大型車両の交差もできない状況である上、歩道もないことから、歩行者や自転車利用者は毎日危険と隣り合わせで通学をしているところであります。  また、来年の秋には辰口丘陵公園に隣接していしかわ動物園も開園することから、一層の車両が増加すると考えられます。  さらに、聞くところによると、現在、松任方面から大型農道の拡幅工事が実施されており、この農道は辰口大橋に接続されると伺っておりますが、先ほど述べたように、現在の状況でも交通のネック箇所となっていることから、将来がますます危ぶまれることは容易に想像できるところであります。  以上のように、この辰口大橋は、現在はもちろん、将来においても加賀地区における交通の要所であると同時に、地域住民の生活道路でもあり、今後の整備計画など改善計画についてお伺いをいたします。  最後に、加賀地区における道路交通網についてお伺いをいたします。  本九月補正予算に加賀産業開発道路の主要交差点立体化と南加賀道路に至る延伸検討に関する調査費が計上されております。加賀産業開発道路は、平成八年十二月に川北大橋の四車線化が完成しておりますが、この四車線化完成とともに交通量が日々増加してきている上、信号も随所に設置されてきていることから、快適性や走行性が大きく損なわれている現状となっております。  また現在、加賀産業開発道路から、部分供用しております小松バイパスを利用して加賀方面へ至るには、加賀市箱宮から現国道を利用することとなり、これまでの走行速度が大幅に低下することから、定時性、安全性にも支障が出ている現状であります。  これらのことから、南加賀地方発展のもととなる金沢・小松・加賀の将来における都市機能連携に支障を来すことが考えられ、この時期に県において加賀産業開発道路の主要交差点の立体化や現在整備中の南加賀道路などとのネットワークを構築する延伸構想についての調査に着手されることはまことに時宜を得たものであると考えます。また、地域住民も大きな期待を持ったことと存じます。  そこで、加賀産業開発道路のこれら主要交差点の立体化並びに延伸に対する今後の進め方についてお伺いをいたします。  以上で私の質問を終わりますが、冒頭に申し上げましたように、簡潔にして中身のある御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) ○副議長(向出勉君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) 善田議員の一般質問にお答えをいたします。  まず第一点は、行財政改革大綱の見直しについてでございますけれども、現在の行革大綱は平成七年の十二月に策定をしたわけでございますが、当時、善田議員には行財政改革特別委員会の委員長として大変御苦労もいただいたわけでございます。改めてお礼を申し上げたいと、このようにも思う次第であります。  おかげさまでこの三年の間、この大綱に盛り込まれました項目につきましては、関係者の御理解も得ながら着実に実施に移してきたところでもございます。しかしながら、議員御指摘のように、この三年の間に社会経済情勢も変化してまいりましたし、地方分権もいよいよ本格化と、こういう状況の変化も出てまいったわけでございます。  今回、本年末を目途にこの大綱の見直しを行うということで、先般県民アンケート調査も実施をいたしたわけでございますが、行財政改革推進委員会あるいは議会の御意見もちょうだいをしながら精力的に作業を進めてまいりたい、このようにも思っておるところでございます。  見直しに当たりましては、県民サービスの向上はもちろんでありますけれども、地方分権時代というのも視野に入れまして、簡素で効率的な行財政のシステムということを念頭に置かなければいけないと、このように思っておりますし、そういう意味では職員の資質の向上とか能力開発の推進ということも大変大きな課題でありますし、定員管理の適正化ということも大きな柱になろうかと思いますし、そしてアウトソーシングといいますか、民間委託の推進等を含めた事務事業の見直し、これも大きな柱になろうと思います。  と同時に、外郭団体の再編、こういったこともひとつ念頭に置きながら議会等での御審議も深めていただきまして、大綱の改定作業をさらにひとつ精力的に進めてまいりたい、このように考えているところであります。  次に、いしかわサイエンスパークについての御質問がございました。サイエンスパークでは御指摘のとおり情報通信基盤の整備でして、北陸先端大とそこに進出をしております企業の間を結びますサイエンスパーク内のLAN、それからサイエンスパークと首都圏とを結ぶ高速大容量回線等の整備を行うことといたしております。  今回の予算でお願いをいたしておりますので、予算成立後作業をしてまいりますと、順調に進みますれば来年の四月から稼働できるという状況になるんではないかというふうに私ども見込んでおるわけであります。  この情報ネットワークの整備によりまして、北陸先端大と進出企業との間でデータ通信が高速に行われるということでありますし、またこの通信回線を利用しての共同研究等の実施も可能になると、こういうことでもございます。  サイエンスパーク外との通信につきましては、いわゆるビジネス用途ではサイエンスパーク進出企業が首都圏とを結ぶ通信回線につきましては、NTT料金の六五%で利用できる助成策を設けることにいたしております。これによりまして、首都圏内における通信料金とほぼ同等になると私ども見込んでおるところでございます。  そしてまた、研究開発用途でサイエンスパーク外との通信につきましては、議員御指摘のギガビットネットワークの利用と、これを利用することによりまして、いわば無償で全国との高速データ通信のやりとりができるということでありまして、一ギガビットで新聞を例に申し上げますと一秒間で新聞なら四カ月分送るということができるわけでありますから、実に四秒間で一年分の新聞を送信することができるということでありますし、VHSのビデオなら四十秒間で二時間分のビデオを送信することができると。まさに大容量回線と、こういうことでございます。  こういういわば情報通信ネットワークの基盤整備を行うことによりまして、首都圏企業を対象としたいわばデータバックアップ事業とか、情報通信基盤を背景としました事業が可能になるわけでありますので、さらに企業誘致の促進につながるものと私ども期待をいたしておるところでございます。  次に、加賀産業開発道路についての御質問がございました。加賀産道路につきましては、御指摘のように昭和四十六年に事業に着手をしまして、平成元年に暫定二車線で開通をし、その後平成八年、川北大橋の完成によりまして四車線化がほぼ完了したということでございます。金沢・加賀間の連携はもとよりでありますけれども、沿線の産業立地、住宅団地の建設等々含めまして、名実ともにその地域の発展を支えるいわば大動脈としての役割を果たしておりますし、御指摘のように年々交通量も増加しております。平成二年当時は一日約一万九百台でありましたものが、平成九年では約二万四千台ということでございますから、倍以上にふえておるということでもございます。  しかしながら、川北大橋の南側といいますか、そこにつきましては丘陵地を通過するということでアップダウンが大変大きいということもございますし、信号機も逐次増設をされるということで、従来に比べますと走行性とか快適性が損なわれつつあるということも事実でございますし、そういう意味では加賀産業開発道路と小松市街地を結ぶ幹線道路でもございますインター八里線、あるいは空港軽海線との交差点につきましてはひとつ立体交差というものを具体的視野に入れてその検討を行っていく必要があろうということで、今回予算をお願いいたしておるところであります。そして、国道八号の小松バイパスより南側につきましては、南加賀道路を今整備を進めておるわけでありますが、将来、小松白川連絡道路というものが当然視野に入ってまいります。これらとの連携というものも当然考えていかなければいけないと。こういうことになりますと、ネットワーク上一つの隘路というのが小松バイパス終点の箱宮付近から南加賀道路の加賀市横北付近への延伸と、これが必要になってくるんではないかと、このようにも思っておりまして、ひとつルート選定に向けた調査もぜひ実施をしたいということで、今回の補正予算でお願いをいたしておるところでございます。 ○副議長(向出勉君) 枝廣総務部長。  〔総務部長(枝廣直幹君)登壇〕 ◎総務部長(枝廣直幹君) 行財政改革に関します県民アンケートの調査結果等につきましてお答え申し上げます。  本年七月に県政モニターの皆様方等から幾つかの貴重な御意見をいただきました。この中で行財政改革として重点的に取り組むべき課題といたしましては、職員数の抑制、組織機構の見直し、事業・補助金等の見直し等がその回答数で上位を占めたわけであります。これらの結果につきましては既に議会の行財政改革特別委員会や民間有識者からなります行財政改革推進委員会にも詳細を御報告をいたしました。秋以降の大綱の見直し作業の中で御指導をいただきながら、これらの意見が適切に反映されるよう心がけてまいりたいと考えております。  また、御指摘のありました具体的な課題でありますが、職員の応接態度に関しましては「余りよくない」、そして「悪い」とお答えになられた方が全体の四〇%を占めるという厳しい結果となっております。早速、各部局に対しまして改善の徹底を図るよう周知いたしましたし、念のため指導書を作成いたしまして、全職員にその旨が徹底されるよう一層の徹底を図っていきたいと考えております。  また、これまでの行財政改革の県の取り組みが十分御理解をいただいてない側面があると、こういうアンケート結果も十分踏まえまして、今後の改革の進捗状況等につきましては適切な広報活動に努めるよう十分心してまいりたいと考えております。  以上です。 ○副議長(向出勉君) 山岸商工労働部長。  〔商工労働部長(山岸勇君)登壇〕 ◎商工労働部長(山岸勇君) 現在整備中のいしかわクリエイトラボについてのお尋ねでございますが、まず最初に、インキュベータとレンタルラボの違いということでございますが、インキュベータは議員も言われるとおり新分野の進出あるいは新商品開発等を目指す中小企業の方々で、企業規模が小さくて独自の事務所あるいは研究室等を持てない方への貸し事務所兼研究室という性格でございます。  入居対象企業といたしましては、中小企業創造法、中小企業新分野進出等の法律の認定を受けた企業、さらに雇用人員が二十名以下の小規模企業、そして創業五年以下の中小企業、もくしはこれから起業家を目指す──起業家は業を起こすという起業家でございますけれども、起業家を目指す者、こうした人たちを入居条件というふうに考えております。  また、レンタルラボは、例えば北陸先端科学技術大学院大学等との産学連携による研究開発を目指す企業の方々等への貸し研究室として、施設の構造も実験機材を組み込むことが可能な構造としておりますので、入居対象企業といたしましては規模の大小を問わず研究開発に意欲を持って取り組む企業をすべて対象にすると、こういうふうに考えております。  クリエイトラボの進出に対する支援策でございますが、議員も御発言ありましたが、低廉な家賃の設定のほかに、来春業務開始予定の財団法人石川県産業創出支援機構の技術、情報、資金面からの支援、そしてまたいしかわサイエンスパーク内の、今ほど知事から御答弁ありましたが、大容量いわゆるLAN等の充実した情報通信システムの活用が可能であるということ。さらには、北陸先端科学技術大学院大学との共同研究、あるいはまた一部の施設の利用も可能と、こうしたソフト面のメリットがあるというふうにお考えいただきたいと思います。  さらに、米国・シリコンバレーの地域のインキュベータへの職員の研修派遣も考えておりますので、こうした研修を終えた職員によるソフト面での支援も考えていきたいというふうに思っております。  今後の入居募集についてのお尋ねでございますが、企画開発部の高等教育振興室、情報政策課と私ども商工労働部、さらには創造的企業支援財団からなるプロジェクトチームによって今いろんな募集に当たっているわけでございます。  入居セールスする相手先というと恐縮でございますが、このサイエンスパークへの立地に興味を示しまして本格的な進出の前段階として入居を希望する──入居というのは、このいわゆるクリエイトラボに入居を希望する企業、それから北陸先端大学との共同研究のニーズを持ち、サテライト研究室としての利用を希望する企業、あるいは新規創業企業や研究開発型の研究スペースとして利用を希望する、こうした企業を相手としてセールスをしていきたいというふうに思っております。  御案内のとおり、昨今大変景況が厳しい状況でございまして、昨年度行った企業ニーズの調査等でいしかわクリエイトラボあるいはいしかわサイエンスパークに関心を示した企業、あるいはまた先端大学と共同研究を行っている企業が昨年の調査で約二百社ほどございまして、こうした二百社を中心に年度内にも募集活動を行っていきたいというふうに思っております。  さらに、中小企業情報センターにも二千社ほどの登録がございますので、こうした企業にもダイレクトメールを送ることによって積極的な誘致に努めていきたいと、このように思っているところでございます。  以上でございます。 ○副議長(向出勉君) 中島土木部長。  〔土木部長(中島浩君)登壇〕 ◎土木部長(中島浩君) 公共事業の執行につきまして御答弁申し上げます。  まず、公共事業の速やかな執行に向けた方針についてでございます。土木部におきます経済対策以外の、いわゆる通常分の公共事業の八月末の契約状況でございますが、率で六三・二%、額で八百六億三千六百万円でございまして、これは前年度の率に対しまして八・一%の増、契約額では二二・九%の増となっているところでございます。  また、六月補正で計上いたしました総合経済対策分の契約につきましては二五・三%で、八十億七千六百万円でございます。公共事業の執行につきましては、八一%の前倒しの目標が定められているところでございますが、土木部におきましては目標達成を図るために各土木事務所ごとに本庁とのヒアリングや打ち合わせを行いまして、計画的な進行管理に努めるなど、機会あるごとに周知徹底を図っております。  したがいまして、八一%の目標につきましては、現状ではおおむね達成可能と考えておりますが、今後ともなお円滑な事業執行に努めてまいる所存でございます。  また、総合経済対策分の早期執行につきましては、ほぼ設計等の準備が整いつつございますので、今後本格的な発注ができるものと考えております。また、さらに国の第二次補正も相当な規模が予想されておりますので、本県経済活性化のためにも土木部職員一丸となって取り組んでまいる所存でございます。  それから、公共事業の用地ストックあるいは建設資材や建設作業員の確保についてのお尋ねでございます。御指摘のとおり公共事業用地のストックが減少傾向にあることはそのとおりでございます。このために平成十年度には用地職員の増強、技術職員の用地担当次長の登用、一丸となっての計画的な用地取得等用地取得体制の強化を図ってまいっているところでございます。幸いにしまして、平成十年度の新規箇所の用地取得につきましてはおおむね順調に進んでおりますが、継続事業等で相当の年月をかけて努力してきたにもかかわらず、一部地権者の理解を得られずに工事に着工できない箇所もございます。これら用地取得が困難な箇所につきましては、速やかに事業認定を行うとともに、土地収用法の適用を積極的に検討してまいる所存でございます。  今後とも公共事業用地の確保につきましては地元町会、地権者の理解と協力を得ることが肝要でございます。関係市町村と緊密に連携をいたしまして、より一層計画的、効率的な用地の確保に努めてまいります。  また、建設資材等につきましては、建設労働者の需給動向は供給がやや余剰ぎみでございまして、使用資材におきましても出荷量等は前年同月比を若干下回っております。しかしながら、今後の第二次補正も考えられますので、市場の動向を的確に把握いたしまして、公共事業の執行に支障がないよう努めてまいる所存でございます。  続きまして、加賀地域の道路整備に関しましてお答えいたします。  無患子トンネルの工事の状況でございます。無患子トンネルの改修を含みます辰口町の寺畑から仏大寺地内の延長千五百メートルにつきましては、平成五年度より整備に着手しているところでございます。このうち、無患子トンネルの延長六百三メートルにつきましては、平成九年の十月に着工いたしまして、平成十年八月に貫通をしたところでございまして、現在トンネルのコンクリート巻き立てを施工中でございます。したがいまして、今年度末における事業全体の進捗は八二%の見込みでございまして、完成時期につきましては、前後の取りつけ道路を含めまして平成十二年春を予定しているところでございます。  続きまして、辰口大橋の今後の改善計画でございます。主要地方道金沢小松線の辰口橋は昭和二十七年に架設されております。幅員が五・五メートルと狭小なために大型車同士のすれ違いは不可能でございまして、その上に歩道が設置されていないこと、さらに大規模地震に対する耐震性上の問題点等から円滑な通行及び安全の確保のための整備が必要であると、このように認識しております。  このために平成七年度より架橋位置の検討を含めまして橋梁予備設計等を進めております。現在、河川管理者である建設省との協議も行っているところでございます。今後協議が済み次第、橋梁及び取りつけ道路の詳細設計に入りまして、平成十一年度ごろより用地買収を行うとともに、早期に橋梁本体工事に着手できるよう努力してまいる所存でございます。  以上でございます。  〔善田晋作君発言を求む〕 ○副議長(向出勉君) 善田晋作君。 ◆(善田晋作君) 自席において再質問をお許し願いたいと思います。  サイエンスパークにつきましてはLANの整備等、そしてまた先ほど申し上げましたギガビットネットワークの大変なものが実は入ってきたと、そういう受入体制が着々と進んでおりますけれども、一体研究所のセールスをどういうふうにやっていらっしゃるのか、それからまたどうも聞くところによりますと、研究所の誘致の方が当初のペースよりもかなりおくれると。もちろん社会情勢もあったかと思いますけれども、今後トップセールスとして知事みずからやってもらいたいと、こんなことを思うんですけれども、その点について知事の答弁をお願いしたいと思います。 ○副議長(向出勉君) 谷本知事。  〔知事(谷本正憲君)登壇〕 ◎知事(谷本正憲君) ただいまお答えをしましたように、サイエンスパークでは大容量通信回線がいわば来年の四月を目途に整備をされるということでありますから、この優位性というものを十分やっぱり企業の皆さん方に訴えていかなければいけないということで、今早速に商工労働部長がお答えをしましたけれども、商工労働部と企画開発部合わせて横断的なプロジェクトチームをスタートさせるということにしておりますし、議員御指摘のように場合によれば私自身がトップセールスという形で興味をお持ちの企業の皆さん方に訴えていくということも大変大事なことだろうと、このように思っております。 ○副議長(向出勉君) 以上で本日の質疑及び質問を終わります。        ─────・──・────── △休会 ○副議長(向出勉君) 次に、休会の件についてお諮りをいたします。  議案調査のため二十四日は休会いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
     〔「異議なし」と言う者あり〕 ○副議長(向出勉君) 御異議なしと認めます。よって、以上のとおり休会することに決しました。        ─────・──・────── △閉議 ○副議長(向出勉君) これをもって本日の議事は終了いたしました。  次会は、九月二十五日午前十時より会議を開きます。  これにて散会いたします。   午後三時二十六分散会        ─────・──・──────...